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  1. 広島県議会 2011-09-02
    平成23年9月定例会(第2日) 本文


    取得元: 広島県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-05
    トップページ 検索結果一覧 使い方の説明 (新しいウィンドウで開きます) 平成23年9月定例会(第2日) 本文 2011-09-26 文書発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言単文選択全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 45 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 : ◯議長(林 正夫君) 選択 2 : ◯議長(林 正夫君) 選択 3 : ◯児玉 浩君 選択 4 : ◯議長(林 正夫君) 選択 5 : ◯知事湯崎英彦君) 選択 6 : ◯議長(林 正夫君) 選択 7 : ◯農林水産局長冨永嘉文君) 選択 8 : ◯議長(林 正夫君) 選択 9 : ◯健康福祉局長佐々木昌弘君) 選択 10 : ◯議長(林 正夫君) 選択 11 : ◯教育長下崎邦明君) 選択 12 : ◯議長(林 正夫君) 選択 13 : ◯副議長(芝 清君) 選択 14 : ◯山下真澄選択 15 : ◯副議長(芝 清君) 選択 16 : ◯知事湯崎英彦君) 選択 17 : ◯副議長(芝 清君) 選択 18 : ◯健康福祉局長佐々木昌弘君) 選択 19 : ◯副議長(芝 清君) 選択 20 : ◯地域政策局長中山雅文君) 選択 21 : ◯副議長(芝 清君) 選択 22 : ◯教育長下崎邦明君) 選択 23 : ◯山下真澄選択 24 : ◯副議長(芝 清君) 選択 25 : ◯山下真澄選択 26 : ◯副議長(芝 清君) 選択 27 : ◯教育長下崎邦明君) 選択 28 : ◯山下真澄選択 29 : ◯副議長(芝 清君) 選択 30 : ◯山下真澄選択 31 : ◯議長(林 正夫君) 選択 32 : ◯松浦幸男君 選択 33 : ◯議長(林 正夫君) 選択 34 : ◯知事湯崎英彦君) 選択 35 : ◯議長(林 正夫君) 選択 36 : ◯土木局長(高垣広徳君) 選択 37 : ◯議長(林 正夫君) 選択 38 : ◯地域政策局長中山雅文君) 選択 39 : ◯議長(林 正夫君) 選択 40 : ◯農林水産局長冨永嘉文君) 選択 41 : ◯議長(林 正夫君) 選択 42 : ◯商工労働局長(津山直登君) 選択 43 : ◯議長(林 正夫君) 選択 44 : ◯教育長下崎邦明君) 選択 45 : ◯議長(林 正夫君) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓ 最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1:         午前十時三十分開議 ◯議長(林 正夫君) 出席議員六十一名であります。これより会議を開きます。         自第 一 県第六八号議案         至第十七 報第 二〇 号 2: ◯議長(林 正夫君) これより日程に入ります。日程第一、県第六八号議案 平成二十三年度広島県一般会計補正予算から日程第十七、報第二〇号 損害賠償額の決定についてまでの各案を一括上程議題といたします。  これより各案に対する質問に入ります。通告者に順次発言を許します。児玉 浩君。         【児玉 浩君登壇】 3: ◯児玉 浩君 皆さん、おはようございます。自民会議の児玉 浩でございます。今次定例会の冒頭に質問の機会を与えていただき、議長を初め、先輩、同僚議員各位に心から感謝を申し上げます。  さて、想定をはるかに超える規模で発生した東日本大震災は、我が国の経済活動や国民生活に多大な影響を与え、危機管理のあり方やエネルギー政策そのものを根底から揺るがすこととなりました。  また、全国に記録的な豪雨と多大な被害をもたらした台風十二号、十五号では、死者・行方不明者が百名を超えております。亡くなられた皆様の御冥福をお祈りいたしますとともに、残された御家族、そして避難所などで不自由な生活を続けておられる皆様に対しまして、心からのお悔やみとお見舞いを申し上げます。  こうした、これまでの想定をはるかに超える自然災害の頻繁な発生と、その甚大な被害を目の当たりにするとき、現在の防災体制の見直しの必要性を感じ、不安と焦燥に駆られるのであります。厳しい財政状況のもと、住民の生命と財産を守るという、自治体の最大の使命を果たす知恵と行動が、今まさに求められているのです。  先月、私は、同僚議員数名とともに、福島県の被災地を視察してまいりました。現地では、我々の訪問のお世話をいただいた消防団長を初め、避難所で生活している被災者の皆さん、前福島県知事、県議会議員、市議会議員など、さまざまな方から生の声を聞かせていただきましたが、改めて被害の甚大さに驚愕し、言葉を失うばかりでありました。  政府の震災対策と原発対策が後手後手に回る中、いまだに八万人近い被災者が避難生活を余儀なくされているものの、国民と企業の必死の努力により、日常生活や生産活動の機能が徐々に回復し、国内景気はようやく持ち直しの兆しを見せ始めております。  しかしながら、急激な世界的金融市場の不安定化や超円高に見られる無秩序な為替レートの動きは、県内景気にも重大な影響を与えることが懸念されるところであります。  さらに心配されるのは、国の来年度の予算であります。政府は、ふえ続ける社会保障費を賄うため、政策経費を各省庁一律に一割削減するという概算要求基準を固めました。削減の対象となるのは、既にピーク時の半分まで減っている公共事業などが中心であり、防災上重要な公共土木施設の整備や維持管理に必要な予算を確保できなくなるおそれがあります。  戦後最大の国難を乗り越えて、県民が安心して未来に踏み出すためには、今回の震災を教訓にして、安心・安全への要請に的確にこたえるとともに、景気回復の芽を確実に伸ばしていくため、経済成長に直接的な波及効果が見込まれる施策を、着実かつ速やかに実施していかなければなりません。  本日は、間もなく一期目の折り返しを迎えようとする湯崎県政のこれまでの成果と今後の取り組みについて質問してまいりますので、県民の明るい未来と経済成長に向けた力強い答弁を期待いたしまして、最初の質問に入ります。  最初の質問は、「ひろしま未来チャレンジビジョン」の推進についてであります。  昨年十月に策定された「ひろしま未来チャレンジビジョン」では、イノベーション立県の実現やがん対策日本一、日本一安全・安心な広島県といった華々しい将来像が描かれております。人づくりと新たな経済成長を重点二分野に掲げる今年度は、このビジョンを実現していく、まさに実行の年として、湯崎知事の手腕に県民の期待が集まっているところであります。  こうした将来ビジョンは、一朝一夕に実現できるものではなく、積極的な事業展開と県民の理解と協力が必要であることは言うまでもありません。
     しかしながら、実行の年であるはずのことし、主要施策の進捗や懸案事項の処理が停滞していると感じているのは、私だけではないと思います。  例えば、「瀬戸内 海の道構想」は、いまだに中間報告にとどまっており、構想の推進組織となる瀬戸内プラットフォームの姿は全く見えてまいりません。昨年度、幾つかの実証事業に取り組んだものの、波及効果額一兆円を実現していくための道筋は、いまだ示されておりません。  また、県においては、中国との経済交流や医療関連産業クラスターなど、次々と新たな施策を打ち出しておられますが、施策や目標を打ち上げた後、一つ一つの成果を目に見える形で県民に示していかなければ、将来ビジョンや大胆な目標は白々しく感じられ、県民と目標を共有することはできなくなるのではないでしょうか。  実行の年と位置づける今こそ、湯崎知事の強力なリーダーシップによる施策のスピードアップが求められているのであります。  そこで、「ひろしま未来チャレンジビジョン」の実現に向けて、今後どのように取り組んでいかれるのか、知事の決意を改めてお伺いいたします。  質問の第二は、緊急経済・雇用対策の成果と今後の対応についてであります。  いわゆるリーマンショック以降、本県においては、平成二十年度一月補正から、幾多の緊急経済・雇用対策を打ち出してまいりました。平成二十一年度六月補正においては、五百三十二億円という過去最大規模の補正予算を組み、これ以降も、たび重なる補正と当初予算において切れ目のない緊急経済・雇用対策予算を編成し、その額は累計で約二千八百億円に及んでおります。  緊急経済・雇用対策の内容は、雇用機会の創出や地域生活基盤の整備、中小企業への融資制度の拡充などでありますが、果たして何人の雇用が創出されたのか、地域生活は豊かになったのか、中小企業は元気を取り戻したのか、それらの成果は目に見える形で県民に示されているのでしょうか。  特に気になるのは、若年者の雇用対策であります。ことしの春に大学を卒業した人の就職率は全国で約六割にとどまっており、進学せず、定職にもついていない卒業生が、約二割、十万人以上にも達していることが、文部科学省の調査で明らかになっております。さらに、来春卒業予定の学生の内々定率は、新就職氷河期と言われた昨年同時期を下回っていると聞きます。  社会に出たら一生懸命働いて、将来は結婚して家族を支えていきたいという当たり前の人生設計が、遠い夢物語になっているのです。バブル崩壊直後の就職氷河期で就職できなかった若者が、非正規社員やフリーターを余儀なくされ、将来の不安から結婚ができない、子育てもままならないという社会問題になっていることを思えば、緊急経済・雇用対策は、将来の広島県を担う人づくり対策でもあるのです。  そこで、知事におかれましては、現在の県内経済・雇用情勢についてどのように認識され、三十カ月以上にわたって二千八百億円を投じて取り組んできた緊急経済・雇用対策の成果についてどのように評価されているのか、成果主義に徹する湯崎知事の御所見をお伺いいたします。  続いて、今後の経済・雇用対策についてお伺いいたします。  県内経済は、おおむね震災前と同じレベルまで回復してきており、有効求人倍率など雇用労働指標の一部には持ち直しの動きが見られます。しかしながら、冒頭申し上げましたとおり、急激な円高や国の来年度予算における政策経費の一律カット、消費税の税率引き上げ、震災復興に向けた臨時増税の議論など、我が国を取り巻く経済環境は決して明るい材料ばかりではありません。  本県が、これまで緊急経済・雇用対策として実施してきた事業の中には、国の交付金を財源にした十七の基金事業がありますが、その多くは、住民の暮らしの安全・安心を確保するための事業など、継続して実施する必要があるものばかりであります。  例えば、社会福祉施設の耐震化や介護職員の処遇改善のための補助金、子宮頸がんの予防ワクチンやヒブワクチン接種の公費助成、住宅用太陽光発電システムの導入の補助金、間伐や路網整備の補助金、さらには雇用創出基金など、多くの基金事業が今年度末で終了となります。  福祉・介護サービスの充実は、超高齢社会に不可欠でありますし、エネルギーの安定供給を図るため、太陽光発電の導入などエネルギー源の多様化は、今後の大きな行政課題であります。さらに、若年者を取り巻く雇用環境は、我が国の社会構造を揺るがしかねない厳しい状況にあり、雇用対策の後退は断じて許されません。  ついては、これら基金事業を中心に取り組んできた経済・雇用対策について、今後どのように対応していかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。  質問の第三は、中国四川省との経済交流についてであります。  四川省は温暖な気候と降雨量に恵まれ、直轄市の重慶市と合わせると、人口一億一千万人を有する中国西部最大の貿易中心地で、GDPは一〇%台の伸び率が続くなど、高い経済成長を見せております。また、人件費は、上海などの沿岸部より二割から三割安いと言われ、大きなポテンシャルと魅力的な投資環境が整っております。  しかしながら、四川省は、沿岸部から直線距離で約一千六百キロメートル離れており、物流インフラや輸送コストに難点があり、日系企業の中国内陸部への進出は少数にとどまっております。  企業の進出が進まない理由は、地理的な要因だけではありません。県内中小企業においては、中国市場のニーズや販売ルート、信頼できるパートナーなどに関する情報が不足し、商品・サービスの企画開発、広告宣伝、販売促進など、いわゆるマーケティング力の面で課題を抱えております。  また、工場の立地基盤や物流基盤に関する情報不足、電力、水、労働力など、基本的資源の供給問題、知的財産の侵害など、中国ビジネスは不透明性・不確実性を抱えており、さまざまなリスクマネジメントが必要となるため、進出に二の足を踏む企業が多いのが現実であります。  企業の海外進出は、県内産業の空洞化につながるおそれがあるものの、県内拠点と海外拠点との分業体制が構築できれば、販路の飛躍的な拡大や海外現地法人からの利益の還流が期待できます。  こうした中、本県においては、本年六月、中国経済交流プログラムを策定され、七月には、広島─成都線が就航しました。そして八月には、湯崎知事が四川省の重慶市を訪問され、同省との経済交流協定を締結するに至っております。  このたびの協定は、投資・貿易、環境保護、知的財産権保護などの分野で、相互の協力を強化するというものですが、県においては、このたびの協定締結を契機に、今後、具体的にどのような企業支援を行い、中国との経済交流を進めていこうとされるのか、知事の御所見をお伺いいたします。  質問の第四は、再生可能エネルギーの普及促進についてであります。  東京電力福島第一原子力発電所の事故では、電力不足に対処するため、電力使用制限令が発令され、電力会社から節電要請が出されるなど、東北地方のみならず、我が国全体の国民生活や企業活動に大きな影響をもたらしました。自動車メーカーでは、夏場の電力不足対策として、土日操業・木金休業が導入され、スーパークールビズや時差出勤を励行する企業も少なくありませんでした。  こうした中、太陽光などの再生可能エネルギーによって発電された電気を一定期間固定価格で電気事業者が買い取ることを義務づける、いわゆる再生可能エネルギー特別措置法が八月末に公布されました。  来年七月から施行されるこの法律は、既に施行されている住宅用太陽光発電の余剰電力買取制度と同様に、電気事業者が買い取りに要した費用は、賦課金によって回収することとされており、電気料金の一部として国民が負担することになっております。すなわち、再生可能エネルギーを発電すればするほど、国民が負担する電気料金がふえていくという課題を抱えており、一般家庭はもとより、製造業など大量の電力を消費する企業の収益に影響が出ることが懸念されます。  我々の生活や事業活動を支えるエネルギーの安定供給を維持するためには、エネルギー源の多様化、特に、再生可能エネルギーの普及が重要であることは否めませんが、そうした経済負担も考慮する必要があります。  一方で、東京都では、百万キロワットの天然ガス発電所の建設を目指すことを発表しておりますが、これは、産業界に対してもエネルギーを安定供給するというメッセージも込められているようであります。  このように、エネルギー源の多様化に向けては、幾つかの選択肢や課題がありますが、太陽光発電など、他県の再生可能エネルギーの普及におくれをとることがあってはならないと思います。  そこで、湯崎知事は、再生可能エネルギーの必要性や課題について、どのように認識されているのか、また、知事は提案説明の中で、太陽光発電などの普及促進のための仕組みを検討していくと述べられましたが、具体的に今後どのような取り組みをされるのか、お伺いいたします。  質問の第五は、小中学校施設の耐震化の促進についてであります。  東南海・南海地震は、今後三十年以内に発生する確率が六〇%から七〇%と言われており、震度五強の揺れに襲われる広島県内の領域人口は九十万人を超えると想定されております。全国各地で地震が頻繁に発生している現在、本県が大地震に襲われないという可能性は否定できません。  こうした中、先月、文部科学省が、公立学校施設の耐震改修状況調査の結果を公表しました。今回の調査には、岩手、宮城、福島の被災地三県は入っておりませんが、ことし四月一日現在、小中学校の耐震化率の全国平均が八〇・三%であるのに対して、広島県は五九・一%で全国最下位、高等学校については、全国平均七七・七%に対して、本県は五八・四%でワースト二位となっております。耐震性のない建物とまだ耐震診断を行っていない建物の合計は、県内の小中学校で九百九十四棟、高校で四百五十九棟という多さであります。  湯崎知事は、六月補正において、県立学校施設の耐震化工事を前倒しで行い、平成二十七年度末までに耐震化率一〇〇%を目指すことを宣言されたところでありますが、一方で、市町が取り組むべき小中学校施設の耐震化については、市町村合併後の学校の統廃合計画の行方や苦しい財政状況を背景に、耐震化がなかなか進まないのが現状であります。  文部科学省においては、公立小中学校の耐震化率を平成二十七年度末までに一〇〇%まで引き上げることを目標に、今年度三次補正と来年度予算で二千五百億円を要求する方針を固めたことが報道されておりますが、厳しい財政運営を強いられている市町の負担を軽減する一層の支援が求められております。  例えば、高知県では、公立小中学校の耐震化工事に対して県独自で補助を行っておりますし、山口県や秋田県などでは、無利子の貸付事業を行っております。また、埼玉県や神奈川県では、耐震診断に要する経費を補助し、特に埼玉県では、平成二十七年度までに公立小中学校の耐震化率一〇〇%、山口県でも平成二十七年度までに九〇%という目標を掲げて、積極的に小中学校の耐震化に取り組んでおります。  小さな我が子を預ける学校施設は、どこよりも安全であってほしいと思うのは、子を持つ親の切実な願いであります。県においては、今後どのようにして市町の取り組みを促して、小中学校施設の耐震化を進めていこうとされるのか、お伺いいたします。  質問の第六は、鳥獣被害対策の充実強化についてであります。  野生のイノシシなど鳥獣による農作物の被害が年々増加しております。県内における被害総額は、昨年度、過去最高の八億四千万円を記録しました。このうち、最大を占めるイノシシによる被害額は五億七千万円で、前年度より三割もふえております。  農家は、わなやさくを設置するなど自衛策をとっておりますが、一メートルのさくをも飛び越えるイノシシに対して効果は限定的で、イタチごっこの状態が続いております。相次ぐ被害に精根尽き果てて農業をやめる人も少なくありません。このことが、イノシシの隠れ家となる耕作放棄地の増加をもたらし、さらなる被害を招くという悪循環に陥っているのです。山間部ばかりでなく、島嶼部においても、イノシシによるかんきつ類の被害は深刻であります。  さらに、人身事故も発生しております。広島市中区において、ことし五月に、二十代の女性と子供がイノシシにかまれるなど、六人がけがをする事件が発生しました。昨年六月には、瀬戸内しまなみ海道の上り線で、ワゴン車がはねたイノシシにオートバイが乗り上げて転倒し、運転手が死亡するという事故もありました。また、JR西日本広島支社の発表では、昨年四月から十二月までの九カ月間で、イノシシやシカが列車に衝突した事故は二百七十七件もあり、芸備線などでは、事故多発区間で徐行運転を行っております。  こうした中、国においては、平成二十年に鳥獣被害防止特別措置法を施行し、イノシシ等の侵入防止さくの設置費用などを助成する都道府県向けの交付金を創設しました。しかし、その配分額は決して十分なものとは言えません。今年度、県内市町から七億四千万円の要望があったのに対して、国からの内示額は、わずか一億六千万円にすぎません。  県では、事業予算の組み替えによって予算額を復元しようとされておりますが、侵入防止さくの設置のみならず、地域の体制づくりも重要であると思います。  山林と農地の間に設ける緩衝地帯の維持管理や、放任果樹の伐採などえさ場を減らす環境改善、箱わななどによる集中捕獲など、総合的に住民と行政が協力しながら取り組む体制がなければ、いつまでたっても鳥獣被害を減らすことはできません。  こうした中、県においては、市町に対する財政的支援の充実と集落ぐるみの鳥獣被害防止の体制づくりに向けて、今後どのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。  質問の第七は、ひろしまの森づくり事業の検証と今後の方針についてであります。  我が国の森林は、林業の採算性の悪化や、農山村地域の過疎化・高齢化などを背景にして、間伐などの手入れが不十分な人工林や里山林が多く、森林が持つ多面的な機能が低下している状況にあります。  昨年の庄原豪雨や先般の台風十二号、十五号など、近年の自然災害では、大量の雨によって山が崩れ、川があふれて人家を破壊し、田畑や市街地に泥水が押し寄せるなど、想定を超える被害が頻発しております。これは、森林や土壌の保水力を上回る雨が降ったためですが、こうした気象災害への備えには、森林が持つ潜在力を再生する工夫が求められます。  適切な間伐を行うことによって、残った樹木が健全に成長していくとともに、森林の中に太陽の光が差し込むことで、下層の植物が生い茂り、表土の浸食や流出を防ぐことができるのです。森林の再生は、生物の多様性を高めるとともに、温室効果ガスの削減にも寄与することは言うまでもありません。  こうした森林の公益的機能を維持増進するために、平成十九年度から導入されたのが、ひろしまの森づくり県民税であります。個人で五百円、法人で均等割額の五%相当額の税収を財源にして、これまで人工林の手入れや里山の整備、県産材の普及対策など、さまざまな事業を実施してまいりました。その結果、土砂の流出防止や景観づくりなど一定の成果が出ております。県土面積の七割を森林が占める本県においては、引き続き、こうした取り組みを継続していく必要があるように思います。  本年度末で五年間の事業期間が終了するこの事業については、外部の有識者などで構成する事業評価委員会において、効果の検証と事業継続の是非について議論がなされており、今月開催された評価委員会において継続することが妥当であるという判断が示されたところであります。  事業期間が終了しようとする今、県としては、これまでの成果をどのように評価し、来年度以降の事業継続についてどのようにお考えなのか、知事の御所見をお伺いいたします。  質問の最後は、障害者の高齢化対策についてであります。  我が国で初めての障害者支援の基本法である心身障害者対策基本法が昭和四十五年に制定されて四十年余りが経過しましたが、近年、障害者の高齢化が急速に進んでおります。全障害者に占める七十歳以上の割合は、昭和六十二年に三一%であったのが、近年では五〇%を超えるに至っております。  障害者を介護する親の高齢化も深刻な問題となっております。福祉団体によるアンケート調査によれば、障害者の介護を担うおよそ九割は障害者の親で、その年齢は六十歳以上がおよそ半数を占め、中には九十三歳の母親が知的障害のある七十二歳の息子を介護しているという例もあったとのことです。介護する人の八五%は精神面や体力面での負担を訴え、もう限界とか、自分が死んだ後が不安でたまらないなどという切実な声が寄せられております。  先月、生活福祉保健委員会の県内調査で障害者支援施設を訪れました。そこで聞いたのは、障害者が六十五歳になると、障害者自立支援法から介護保険法に移行しなければならず、連続的なサービスが受けにくくなる、住みなれた施設で継続して暮らせるようにしてほしいという要望でありました。  六十五歳になると、障害者自立支援制度より介護保険制度のサービスが優先されることになっているのです。市町村長が認めた場合は、引き続き障害者自立支援制度のサービスを受けることができますが、一たん施設を退所すれば、介護保険制度に移行しなければなりません。また、介護保険制度は、保険料のみならず、一割の利用者負担が必要となり、障害者自立支援制度に比べて経済的負担がふえることも、障害者にとって切実な問題となっています。  こうした障害者の高齢化に対処するため、障害者支援施設に隣接する特別養護老人ホームを建設する法人も出てきております。障害者本人だけでなく、今後、高齢の保護者が障害者と一緒に利用できるような施設も必要になってくるのは確実であると思います。  六十五歳で一律に線を引くような介護保険サービスの優先の原則を改め、障害者やその保護者が生涯を通じて安心して暮らせるような仕組みづくりが必要であると思います。  県においては、障害者の高齢化問題についてどのように認識し、障害者やその保護者が高齢になっても安心して生活できるような仕組みづくりに向けて、どのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。  私の質問は以上でありますが、先日の新聞社のアンケート調査によれば、東日本大震災以降、家族のきずなやつながりの大切さを再認識したという人が全国的にふえているようであります。未曾有の災害が、私たち日本人が忘れかけていたきずなを呼び覚ましたことは皮肉と言うしかありませんが、今を生きる私たちすべてが、この大災害をみずからのこととして受けとめ、国民全体の連帯と分かち合うことによって復興を進めていかなければなりません。  今月は、各地で敬老会が開催されております。そこでお年寄りから聞かれるのは、やはり復興を願う声であります。戦前・戦中・戦後の困難な時代を力強く生き抜き、我が国の繁栄の礎を築いてきたお年寄りが、日本人なら必ず復興をなし遂げることができると若い世代を叱咤激励する姿が印象的でありました。被災地の復興なくして日本の再生はありません。原爆の焼け野原から奇跡の復興をなし遂げた広島の果たす役割は、被災地を勇気づける上で大きなものがあるはずです。  なでしこジャパンをワールドカップ優勝に導いた佐々木監督のチームづくりは、目標の共有から始まるそうです。強いきずなで結ばれた者同士が共通の目標を目指すとき、その実践能力は飛躍的に高まるというのです。  湯崎知事におかれましては、県政ビジョンや目標が、県職員のみならず、県民と共有され、実践され、現実のものとなっていくよう、これまで打ち出した施策について、そしてこれから着手する施策について、着実な成果を積み重ねていただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。御清聴、まことにありがとうございました。(拍手) 4: ◯議長(林 正夫君) 当局の答弁を求めます。知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 5: ◯知事湯崎英彦君) まず、「ひろしま未来チャレンジビジョン」の推進についての御質問でございます。  人口減少や少子・高齢化、グローバル化の進展など、時代の大きな変化に対応しつつ本県が発展していくためには、新たな発想を持って、変革に挑戦していかなければならないと考えております。  こうした認識のもとで、昨年十月に「ひろしま未来チャレンジビジョン」を策定して、本年度を「仕込みと基盤づくりから実行へ」と新たな第一歩を踏み出す年ととらえ、集中的な取り組みを進めているところでございます。  具体的に申し上げますと、まず、イノベーションの推進につきましては、五月に、ひろしまイノベーション推進機構を設立し、県の出資四十億円に加え、地元金融機関からも二十七億円の出資の意向が示され、現在、十一月の新たな組合設立に向けた取り組みを進めております。  また、医療産業クラスター形成に向けて、八月に国から地域イノベーション戦略推進地域の選定を受けるとともに、十月一日から、庁内にプロジェクト・チームを立ち上げることとしております。  次に、海外との交流拡大については、広島─上海─成都線などの国際定期航空路線を拡充するとともに、福山港が国際バルク戦略港湾として指定を受けるなど、新たなネットワークづくりを進めております。  また、先月には、私自身が中国四川省を訪問し、経済交流協定を締結したところであり、今後、県内企業への積極的な事業展開の支援などに努めてまいります。  「瀬戸内 海の道構想」については、昨年度実施いたしました十九の実証事業に加え、現在、七つの戦略テーマに沿ったプロジェクトを公募しているところでございます。今後は、これらの成果や課題を踏まえながら、さまざまな主体と連携して構想を推進するための瀬戸内プラットフォームの構築に向けた取り組みを進めてまいります。  さらに、がん対策日本一に向けた取り組みについては、現在、高精度放射線治療センターの整備に向けて、公募型プロポーザルを実施しているところであり、年内に設計に着手することとしております。  こうした重要プロジェクトの推進に加えて、これまで懸案となっていた課題につきましても、広島西飛行場のヘリポートへの機能転換や出島廃棄物処分場事業の陸上搬入への計画変更など、新たな方向性を整理したところでございます。  こうした取り組みを積み重ねていくことによって、私といたしましては、引き続き、県民の皆様に成果を実感していただける県政運営を基本に、チャレンジビジョンの実現に向けて全力を傾注してまいりたいと考えております。  次に、緊急経済・雇用対策の成果についての御質問でございます。  本県の経済情勢は、県内企業の生産活動がおおむね東日本大震災前と同じ水準まで回復するなど、景気の持ち直しの動きが見られますが、戦後最高値で推移しております円高の影響により、今後、企業の採算悪化や国際競争力の低下などが懸念されているところでございます。  また、雇用情勢についても、本年七月の有効求人倍率は〇・八〇倍で、二カ月連続で改善しているものの、依然として厳しい状況が続いております。  緊急経済・雇用対策につきましては、リーマンショック以降の危機的な経済・雇用情勢の中で、県民の皆様の不安の解消と暮らしを守るため、国の各種基金等も最大限活用して、緊急的な雇用機会の創出と当面の需要の下支えを目的とした幅広い対策を講じてまいりました。  この結果、雇用面では、これまで雇用関連基金事業で約一万二千人を雇用したほか、職業訓練などを含めますと、全体として約二万五千人の方々の就業につながったところでございます。  特に、本県の将来にわたる産業活力の維持等の観点からも重要な課題であります新規学卒者の就職支援につきましては、求人開拓員等による求人情報の掘り起こしなどに取り組んだところであり、今春の就職率は、大学生は八八・八%と依然厳しい状況が続いておりますが、高校生については九六・八%とリーマンショック以前の水準に回復したところでございます。  また、経済対策といたしましては、当面の需要創出の観点から、生活安全施設の緊急補修等を行ったほか、あわせて、県産材を使用した住宅整備に対する支援や信号機の新型LED電球への交換の前倒しなど、県内製品の消費拡大による本県産業の活性化、あるいは、環境対策、子育て支援といった課題の対応にもつながる施策に取り組んできたところでございます。  こうしたこれまでのさまざまな取り組みによりまして、緊急経済・雇用対策としては一定の成果があったものと認識しております。  次に、今後の経済・雇用対策についてでございます。  現下の厳しい雇用情勢にあっては、景気の下支えとして政府支出による機動的な対応が必要であると考えております。  このため、本年六月に国に対し、経済成長と雇用創出に重点を置いた実効ある対策の実施や、雇用対策のための基金の追加交付と期間の延長、さらには、その他の経済対策の基金についても、暮らしの安全・安心に向けた適切な財源措置など、きめ細かい対策の継続を要請したところでございます。  今後につきましては、国の動きを見きわめつつ、引き続き厳しい状況が続く場合には、さまざまな機会を通じ国に働きかけてまいりたいと考えております。  一方で、我が国経済に自律的な回復の兆しがあらわれて、政府支出を通じた下支えからの脱却が図られる状況になりましたら、本来の政策目的に沿って事業を再構築した上で、適切な推進を図ってまいりたいと考えております。  次に、四川省との経済交流についての御質問でございます。  人口減少によります国内市場の縮小やグローバル化が一層進展する中で、本県経済が持続的に発展していくためには、中国などのアジアを中心とする成長市場の活力を取り込むことが不可欠であると考えております。  こうした認識のもとで、ことし六月に中国経済交流プログラムを策定して、とりわけ経済発展の潜在力が高く、本県と長年にわたって友好交流の実績のある四川省及び重慶市を戦略的な重点地域として設定して、今後の経済交流拡大に向けた取り組みを積極的に推進するとしたところでございます。  このため、先月には、私自身、県内企業や経済団体等と四川省を訪問して、経済交流協定を締結するとともに、環境分野の商談会を開催するなど、広島をアピールしてまいりました。中国側からは、本県の有する環境技術に高い関心が寄せられるとともに、成都市で開催した広島PRイベントに三日間で延べ二十万人の方に御来場いただくなど、内陸部の潜在成長力の大きさを直接肌で感じたところでございます。  今後の取り組みにつきましては、まず、今回の商談会で継続協議案件となりましたもののフォローアップや、来月、成都市で開催されます第十二回中国西部国際博覧会への環境・省エネルギーをテーマとした広島県ブースの出展などを通じまして、四川省側のニーズや商談成立に向けた課題を把握して、関係機関と連携しながら県内企業の事業展開を支援してまいりたいと考えております。  また、こうした取り組みを端緒として、今後、巨大な成長市場となった中国での県内企業のビジネス機会の拡大に向けまして、四川省の現地情報拠点の設置など、中国経済交流プログラムに基づいて、企業の事業発展段階に応じた、きめ細かな支援を行ってまいりたいと考えております。  次に、再生可能エネルギーの普及促進についての御質問でございます。
     再生可能エネルギーは、地球温暖化防止の有力な手段であるとともに、東日本大震災を踏まえた今後の重要なエネルギー源として、また、電源の分散化や地域経済の発展にも寄与するものとして、一層の普及拡大が必要であると認識しております。  こうした中、先月成立いたしました再生可能エネルギー特別措置法は、今後の再生可能エネルギーの普及を一層後押しする仕組みとして、大きな期待を寄せております。  一方で、電力買い取り制度は、再生可能エネルギー電力の高額買い取りを電気事業者に義務づけるというものの、その経費は賦課金として広く電力需要者全体で負担する仕組みとなっており、一点目としては、賦課金に伴って電気料金が上昇して県民生活や事業活動へ影響が生じること、二点目として、太陽光パネルやメガソーラー等の施設を設置でき、かつ実際に設置する家庭や発電事業者を、設置できない多くの国民や企業が支えるという制度上の不公平があるなどの課題があると認識しております。  特に二点目の課題につきましては、これまで国会等を通じた議論の中でもほとんど取り上げられることがなかったと認識しておりまして、私としては懸念を抱いているところでございます。  こうした課題に対応しながら、再生可能エネルギーの普及を促進していくためには、施設設置者が得る利益を県民に幅広く還元できるような仕組みを構築することも必要ではないかと考えているところでございます。  このために、早急に、有識者や関係機関で構成する検討組織を立ち上げて、再生可能エネルギーの普及促進方策や県が果たすべき役割について取りまとめて、再生可能エネルギーの普及促進に向け、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  その他の御質問につきましては、担当説明員より答弁させていただきます。 6: ◯議長(林 正夫君) 農林水産局長冨永嘉文君。         【農林水産局長冨永嘉文君登壇】 7: ◯農林水産局長冨永嘉文君) 二点についてお答えいたします。  一点目は、鳥獣被害対策の充実強化についてでございます。  鳥獣被害対策に係る市町への財政的支援につきましては、国に対し、今後とも十分かつ継続的な予算を確保するとともに、交付金の配分基準について、市町村合併が進んだ都道府県が不利となっている現状を見直すことなどについて、引き続き強く働きかけてまいります。  また、県事業として実施している鳥獣被害対策事業の予算を組み替えまして、市町の要望の大半を占めます、わな及び侵入防止さくの設置を支援するとともに、より効果的な事業実施に向けて、新たに県内三カ所で研修会を実施することといたしました。  次に、集落ぐるみの鳥獣被害防止の体制づくりにつきましては、一つには、野菜の収穫残渣の除去や緩衝帯の設置等により集落がえさ場になることを防ぐ、いわゆる環境の改善、また、農家みずからも参加して取り組む捕獲体制の整備、さらには、集落単位でさくの設置や管理を行う効果的な侵入防止対策の三つの取り組みを総合的に行うことが重要であると考えております。  こうした取り組みを効果的に行うためには、集落が主体となった活動を行えるよう、農家などの意識向上や、これらの取り組みを牽引する人材の確保などが必要不可欠でございます。  このため、まず、市町、JA等における鳥獣被害防止に係る指導者の育成を図ることとし、その指導者のもとで、研修会の実施や集落リーダーを育成するなど、集落ぐるみの鳥獣被害防止の体制づくりに向けて取り組んでまいりたいと考えております。  二点目は、ひろしまの森づくり事業の検証と今後の方針についてでございます。  ひろしまの森づくり事業につきましては、平成十九年度以降、平成二十二年度までの四年間に、長年放置されておりました杉、ヒノキ林において、四千ヘクタールを超える間伐を実施するとともに、延べ五万二千人の県民の皆さんの参加も得まして、手入れが不十分な里山林の整備などを行ってきたところでございます。  これまでの事業効果については、事業評価委員会において検証が行われ、水源涵養や山地保全などの公益的機能の発揮を初めとし、さまざまな効果があるとの議論が行われてまいりました。  また、来年度以降の事業につきましては、さきの第三回評価委員会において継続が妥当との判断がなされ、今後のあり方などについて取りまとめた評価委員会報告書案が作成されたところでございます。  現在、この報告書案について、広く県民の皆様の意見を募集しており、寄せられた意見を踏まえまして、十月下旬に事業評価委員会としての最終の判断が示されることとなっております。  県といたしましては、この最終報告書を受けた後に、事業効果の評価や事業の継続に係る今後の方針について検討し、改めて県民の皆様及び議会にお示ししたいと考えております。 8: ◯議長(林 正夫君) 健康福祉局長佐々木昌弘君。         【健康福祉局長佐々木昌弘君登壇】 9: ◯健康福祉局長佐々木昌弘君) 障害者の高齢化への取り組みについてお答えいたします。  高齢となった障害者が、引き続き住みなれた地域で安心して生活するためには、これまで利用していた障害福祉サービスの継続が重要であり、保護者の負担軽減にもつながるものと認識しております。  障害者自立支援法と介護保険法では、障害者が六十五歳になった場合、共通するサービスは、原則として介護保険法による給付が優先されることとなっておりますが、心身の状況やニーズ等によっては、障害者自立支援法による給付が可能となっております。  このため、県では、市町や事業者に対して本制度の周知を図り、必要なサービスが提供されるよう努めているところでございます。  なお、国においては、障害者自立支援法にかわる新法制定に当たり、障害者のニーズにより適切に対応するため、介護保険優先の原則の見直し等を検討しており、県といたしましても、当事者や地方公共団体等と十分協議するよう、国に対して働きかけを行っております。  さらに、県といたしましては、県立障害者施設の整備拡充、昨年四月の視覚障害者情報センターの改組、本年七月の思いやり駐車場制度の導入、障害者との共生社会の実現に向けた県民運動、また、本定例会補正予算案を提出しております障害福祉事業所の基盤整備事業などにより、障害者やその保護者が生涯を通じて安心して生活できる環境づくりに向け、積極的に取り組んでまいります。 10: ◯議長(林 正夫君) 教育長下崎邦明君。         【教育長下崎邦明君登壇】 11: ◯教育長下崎邦明君) 小中学校の施設耐震化の促進についてお答えいたします。  学校施設は、児童生徒が一日の大半を過ごす活動の場であるとともに、非常災害時の応急避難場所としての役割を果たすことから、その耐震化は極めて重要であり、全国で低位にとどまる本県の耐震化を加速させることは、喫緊の課題であると受けとめております。  小中学校について、市町別の耐震化率を見ると、既に一〇〇%を達成したところがある一方で、五〇%に達していない市町もあるなど、耐震化の取り組みに格差が生じてきており、県としても、市町への働きかけを強化する必要があると考えております。  このため、特に耐震化がおくれている市町に対して、私みずから訪問し、直接、首長などに働きかけを行うとともに、県立学校における新たな耐震化の取り組みを初めとした必要な情報提供や、きめ細かな指導・助言を行っているところでございます。  こうした取り組みなどにより、各市町が耐震化の前倒しや計画の見直しに向けて検討を進めており、このたび、三次市に続いて府中市が平成二十五年度中の耐震化完了を表明するなど、具体的な動きが出てきております。  県といたしましては、国に対して、補助要件の拡充など必要な提案を行うとともに、設置者であるすべての市町が、国の施設整備基本方針に基づき、平成二十七年度までに耐震化を完了するよう、今後とも強く働きかけを行ってまいります。 12: ◯議長(林 正夫君) この際、暫時休憩いたします。午後の会議は一時から開きます。         午前十一時二十四分休憩              ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~         午後一時一分開議 13: ◯副議長(芝 清君) 出席議員五十三名であります。休憩前に引き続き会議を開きます。  引き続いて質問を行います。山下真澄君。         【山下真澄君登壇】 14: ◯山下真澄君 皆さん、午後も続いて御苦労さまでございます。民主県政会の山下真澄でございます。  本年四月の選挙で、初めて議席をいただきましたばかりの私に、本会議における質問の機会を与えていただきました議長を初め、先輩議員の皆様に心から感謝を申し上げますとともに、今後とも御指導いただきますようお願い申し上げます。  さて、三月に発生した東日本大震災は、岩手、宮城、福島の三県を中心とした各地に未曾有の大被害をもたらしました。被災されたすべての皆様にお見舞いを申し上げますとともに、とうとい生命を奪われた方々の御冥福を心からお祈り申し上げます。  私は、被災地の人々が求めている支援について調査するため、我が会派の先輩議員とともに、八月九日から十一日にかけて、北海道奥尻町と宮城県気仙沼市を訪れました。  御承知のように、奥尻町は、一九九三年七月の北海道南西沖地震において大きな被害を受けた町であります。町議会関係者のお話では、最高二十九メートルという大津波に襲われた海岸近くの集落は壊滅状態となり、島内全域で斜面の崩落や家屋の損壊などが発生して、死者・行方不明者を合わせると百九十八人の方が犠牲になり、被害総額は六百六十四億円にも上ったそうであります。  しかし、町と議会、住民が一体となって再生に取り組んだ結果、五年後には完全復興を宣言するに至りました。年間予算がわずか五十億円という財政力の乏しい小さな町であり、多くの困難があったものの、国や北海道からの補助金や交付金、あるいは、全国からの義援金を奥尻に集中してもらえたため、当初の見込みより早く復興を遂げることができたと、お話をしておられました。  奥尻町に比べて、東日本大震災の被災地は広範囲にわたり、被害の規模もけた違いに大きいため、復興までには相当の年月を要することが明らかであります。気仙沼市も、私たちが訪れた当時は、津波による瓦れきも仮置き場に集められただけで、最終処分の見通しも立っていない状況でありました。すべての被災地が復興計画に基づいて本格的な作業を開始するためには、国による財政的裏づけと法整備が不可欠であり、一日も早い対応が求められるところでございますけれども、全国の自治体による支援を一層充実することも重要であります。  その意味で、気仙沼のカキ養殖業の再生を支援するため、いかだ用資材を提供し、作業ができる養殖業者と農林水産局長を初めとした職員を派遣した本県の取り組みは高く評価されるものであり、私たちが宮城県漁業協同組合唐桑支所を訪れた際にも、感謝の言葉をいただいたことを御報告しておきたいと思います。  しかし、知事も現地を訪問されて実感されたことと思いますが、被災地はまだまだ多くの支援を必要としております。カキ養殖に関することに絞って申し上げれば、唐桑支所でお話を伺った方々から、ことし種つけをした稚貝が出荷できるようになる二年後までに、海から揚げたカキを滅菌するタンクや海水をくみ上げる水中ポンプなどを購入しなくてはならないが、すべての従事者が資金を準備することは困難であり、可能な限りの援助をお願いしたいという切実な訴えがございました。  私は、このような現地の要望と本県に対する大きな期待にこたえるため、そして、知事が提唱されている自治体間のペアリング支援制度を本県から先行的に実施する意味からも、気仙沼のカキ養殖業が完全に立ち直るまで、今申し上げましたことを踏まえて、継続的な支援を実施すべきであると考えますが、御所見をお伺いいたします。  次に、児童生徒の問題行動を解消する取り組みについてお伺いいたします。  教育委員会は、八月八日に、二〇一〇年度の公立学校における児童生徒の暴力行為に関する調査結果を公表されました。  それによりますと、学校内外での暴力行為の発生件数は、対前年度比一〇%増の千五百四十三件で、四年連続して増加し、内訳では児童生徒間の暴力が九百三件で最も多く、次いで教職員に対する暴力が三百四十九件、器物損壊が二百四十五件、その他が四十六件となっております。また、いじめの認知件数は一〇%増の四百九十三件で、特に小学校では四三%の増加という憂慮すべき実態になっております。  これについて、教育委員会は、感情をコントロールできず、突然キレる児童生徒がふえたと説明しておられます。私は、このような分析では極めて不十分であると考えております。なぜなら、感情をコントロールできず突然キレるのはなぜなのかという原因について触れておらず、また、暴力行為に至った原因は子供によってさまざまであり、一くくりにして決めつけることはできないという視点も欠落しているからであります。  私は、福山市に在職中、隣保館の仕事で多くの子供たちと出会いました。また、PTAや地域の活動の中でも、さまざまな子供たちとの出会いがありました。その中には問題行動を起こす子供たちもおりましたが、上から目線の説教ではなく、じっくりと言い分を聞けば心を開いて本音を話してくれる、そしてそこから子供自身の自己変革も始まることを学んできました。この体験から、家庭が経済的に貧しいため精神的な余裕がないのか、勉強がわからないので学校がおもしろくないのか、周囲の大きな期待に圧迫されて心がはじけてしまうのか、あるいは地域の集団が崩壊したため、人間関係をつくることが苦手なのかなど、子供が置かれている状況に思いをめぐらせて、一人一人の琴線に触れる指導をすることが、問題行動から立ち直らせる唯一の方法であると思っております。  しかし、学校では、問題行動に走らせた背景を見ようとせず、規則を守れとか善悪をわきまえろと言うだけであったり、懲罰を加えることが最善であるとするような指導も行われていると聞いております。これでは、到底子供の心を開かせることはできず、本質的な問題解決にはならないと考えますが、問題行動を起こした子供の指導のあり方について、教育長の御所見をお伺いいたします。  さらに、子供たちの問題行動が増加していることの大きな原因の一つになっていると思われる教職員の勤務実態を改善する手だてについてお伺いいたします。  申し上げるまでもなく、問題行動は学校の取り組みだけで解決できるものではありませんが、私が出会った問題行動から立ち直った子供たちは皆、自分のことをわかってくれる先生と出会ったことで立ち直ることができたと述懐しております。つまり、学校の取り組みのありようによって子供たちを変えることができるということであり、だからこそ、教職員も子供たちに寄り添った指導をしたいと考えているのであります。  しかし、現在の学校では、教職員が余りにも多忙で、子供たちにかかわる時間を十分にとることができず、信頼関係を築くことが極めて困難になっているのではないでしょうか。  私は、県内の公立小中学校における本年六月の管理職を除いた教員の勤務状況を抽出調査しましたが、自宅へ持ち帰って仕事をした時間や休日に出勤した時間を除いても、超過勤務の平均は六十五時間二十六分にも上り、二五%の教員は八十時間を超えておりました。そして、このような状況は、県立学校においてもほとんど変わりがないとお聞きしております。  厚生労働省は、二〇〇二年に過重労働による健康障害を防止するため事業者が講ずべき措置等についての通知で、月四十五時間を超える時間外労働をさせた場合、当該労働をした労働者に関する情報を医師に提供し、事業場における健康管理について指導を受けることを指示しております。また、二〇〇六年の労働安全衛生法の改正により、月百時間を超える時間外労働をさせた場合は、当該労働を行った労働者に、医師による面接指導を行わせなければならないとされました。  この基準から見ても、県内の公立学校における超過勤務は常軌を逸した状況になっていると言わざるを得ません。しかも、この時間のほとんどは、教育委員会が提出を求める各種書類の作成に費やされており、教職員が子供たちと向き合う時間に充てることができないこと、さらに、法令に基づいて行うべき措置を講じている校長が少ないことも聞き及んでおります。  その上、遠距離通勤を強いられている人も多く、本県の教職員の肉体的・精神的ストレスは限界に達しております。その結果、広島市教育委員会が所管しているものを除いた小中学校と県立学校の合計で、二〇〇九年度の精神疾患による休職者は、全国で四番目に高い割合の百二十九人、退職者に占める若年退職の割合は六四・四%、現職で死亡した人は十三人という、極めて深刻な実態が生じているのであります。  学校における教育効果を上げるためには、教職員が元気で意欲を持って指導に当たることが何よりも重要でありますが、使命を持って自覚して頑張れという精神論だけで元気や意欲がわいてくるものではありません。  健康被害をもたらす可能性が極めて大きい超過勤務や遠距離通勤の異常な実態を解消することが喫緊の課題であり、使用者としての教育委員会の責任であると考えますが、教育長の御所見をお伺いいたします。  次に、県立こども家庭センターに一時保護された児童生徒の学習権と保育権を保障する取り組みについてお伺いいたします。  近年、保護者が子供の養育を放棄したり、日常的に虐待を繰り返す深刻な事案が各地で発生し、こども家庭センターに持ち込まれる相談件数が急増しております。また、子供たちの問題行動がふえ続けていることを反映して、保護者や学校関係者などが相談に訪れるケースもふえております。  県内における昨年度の状況を見ると、東部こども家庭センターが受け付けたものだけでも、虐待に関する相談が五百四十七件、虞犯行為や触法行為などの非行に関する相談が二百四十四件に上り、その四年前の二〇〇六年度の二百六十七件、百二十件と比較して、いずれも二倍以上という数値になっております。そして、一時保護した子供の数は、一日当たり平均六人、合計百七十九人で、保護した期間の平均は十二・二日となっておりますが、最長のケースは八十二日間にも及んでおります。  家庭から子供を引き離す必要がある場合には、児童養護施設へ入所させる、あるいは里親に委託する取り組みをするわけですが、保護者の承諾を得なければならないことに加えて、受け入れてもらう相手方を確定するまでに相当な時間を要するため、厚生労働省の運営指針で目安とされている二カ月を超えて保護せざるを得ない状況になっているわけであります。  センターが保護する子供たちの状況は、一人一人異なります。しかし、共通しているのは自尊感情が乏しいこと、就学中の子供の多くは学習習慣と基礎学力がついていないことであります。これは、最も安心できる環境であるべき家庭の中で身の危険にさらされたり、家庭や学校などで疎外状況に置かれていることが最も大きな原因であります。したがって、センターには可能な限りの援助をすることが求められるわけですが、本日は、学習権と保育権を保障するための取り組みに絞ってお尋ねいたします。  厚生労働省の運営指針では、午前中は学齢児に対しては学習指導、未就学児童に対しては保育を行うこととされ、学習指導に当たっては、子供の状況や特性、学力に配慮した指導を行うことが必要であり、在籍校と緊密な連携を図り、創意工夫した学習を展開する必要があると明記されております。  しかし、センターの職員配置は、保育権や学習権をきちんと保障できる体制にはなっておりません。職員の献身的な努力で何とか対処しているのが現状であります。  また、小中学校では、一時保護された期間を出席として扱っているところもあると聞いておりますが、高等学校の場合は欠席扱いとされているために、出席不足で留年につながるような事態が生じるという問題点もあります。  このような問題を解決するために、こども家庭センターに保育士と教員を配置するべきであると考えますが、御所見をお伺いいたします。また、教員の配置には、教育委員会の対応も求められますので、教育長の御所見もあわせてお伺いいたします。なお、教員の配置につきましては、最寄りの学校に加配措置をして、センターでの指導に当たってもらうという方法もあることをしんしゃくされた上で御答弁をお願いいたします。  次に、発達障害児と保護者に対する支援を充実する課題についてお伺いいたします。  発達障害の問題は、近年、さまざまな場所で取り上げられるようになりましたが、私たちが子育てをしていた時代には、専門家の方は別として、発達障害という概念さえありませんでした。そのため、子供の表面的な現象をとらえて、落ちつきがない、すぐに手を出す、集団に入れないなどとレッテルを張り、親のしつけが悪いからであると決めつけるような風潮もありました。  今日では、発達障害であるという理解が徐々に広がり、当該の子供と保護者を支援するための公的な体制も少しずつ充実してきましたので、大きな前進であると考えておりますが、本県における支援の体制は、まだまだ不十分であると指摘せざるを得ません。  人間が持っているさまざまな能力が、どの程度、どのように開花していくかは、乳幼児期からの育ちの条件、つまり、生育環境によって大きく左右されることが学問的にも明らかにされております。したがって、発達障害のある子供たちの養育と教育については、格段の配慮のもとに必要な条件を整えることが重要であります。  しかし、保護者や保育所・学校の教職員などが障害の状態と最適な育て方を判断することは容易ではなく、大きな不安を抱えながら、子育てや保育・教育に当たっているのが現実であります。  私の地元には、コミュニティセンターと命名された隣保館があり、そこでは、三年前から年三回程度、発達障害に関する学習講座が開催され、講座が終わった後には、講師が保護者の相談に応じる取り組みも行われておりますが、夜間にもかかわらず、毎回多くの参加者があり、中には二十キロメートルも三十キロメートルも離れた地域から来る人もおられます。保護者の悩みがいかに大きいかということを象徴している事実であります。  しかし、尾道以東の東部地域には、専門的な診察や指導ができる公設機関は県立福山若草園しかなく、しかも、発達障害を担当する常勤の医師は一人しか配置されておりません。そのために、懸命に努力をしても、申し込みを受けてから診察ができるまでにおよそ一カ月半、再診までにも同じくらいの時間が必要であり、関係者の要望にこたえ切れない現状であるとお伺いしました。  県としても、このような状況を解消するべく、福山若草園の建てかえと機能強化の方針を打ち出し、福山市水呑町への移転を決定されました。また、福山市では、就学前の子供を対象にした療育施設であるこども発達支援センターを来年度当初に開設するための準備が進められており、県と福山市の連携によって、東部地区における療育機能・相談機能が強化されることに県民の大きな期待が寄せられております。  そこで、移転後の福山若草園において、専門の医師による診察や指導、相談など、発達障害児と保護者に対する支援の体制をどのように充実しようと考えておられるのか、また、当面の措置として、現在の若草園に複数の医師を早急に配置するべきであると考えますが、御所見をお伺いいたします。  次に、悪質な身元調査を防止するための取り組みについてお伺いいたします。  知事も御承知のことと思いますが、二〇〇五年四月、新聞各紙が戸籍謄本などの不正請求事件を一斉に報道しました。これは、神戸、宝塚、大阪で事務所を開いていた三人の行政書士が、職務上請求書に虚偽の記載をして第三者の戸籍謄本などを不正に入手し、依頼された興信所から謝礼を受け取っていたという事件であります。興信所の経営者は、新聞社の取材に対して、結婚調査の九割は同和地区出身かどうかの調査である、悪いことだと思うが、これをしないと食べていけない、弁護士にも頼んだことがあると答えております。  また、身元調査によって結婚が破談になった同和地区出身の女性が提訴した損害賠償請求裁判において、裁判所から提出を命じられた興信所の営業日誌に全国の同和地区の所在地を記した部落地名総鑑の存在を裏づける記載があったことも発覚しており、差別を目的とした悪質な身元調査が横行していることが浮き彫りになりました。  私たちは、全国の被害状況を調査した法務局から、本県では、十四市町で六十件の不正取得があったという報告を受けましたが、各市町に情報公開を請求して確認したところ、実際は、十六市町・百五十二件に上ることが明らかになりました。  この事態を受けて、福山市では、個人情報の自己コントロール権を保障するという個人情報保護条例の趣旨に基づき、被害者に対して事実を報告する本人告知を全国の市区町村で最初に実施しました。その結果、九件の被害のうち、三件は身元調査に使用された可能性が高く、そのうち二件は結婚にかかわる調査であったことが判明しております。被害者の中には、同和地区出身でない人も含まれており、部落差別が横行する社会では、さまざまな人権侵害が惹起することを雄弁に物語っております。この事実こそ、同和問題の解決は国の責務であり、同時に国民的課題と言われるゆえんなのであります。  この一連の事件は、国会でも大きな問題として取り上げられ、二〇〇七年には、戸籍法及び住民基本台帳法が改正されました。しかし、行政書士などの八業士による職務上請求については、戸籍謄本などが必要な理由を詳しく記載することとされるにとどまったため、事務を取り扱う市区町村の窓口で不正を見抜くことがほとんど不可能であるのが現実であります。その結果、法改正後も全国各地で同様の事件が続発しており、この年の十二月には、大阪の探偵業者が他人の委任状を偽造して不正取得した事件も発覚しました。そして、この事件には広島市内の興信所が深く関与していたことも裁判の過程で明らかになっております。  相次ぐ事件を憂慮した全国の市区町村では、不正取得を防止するための事務改善が進められました。  県内では、福山市に続いて、大崎上島町が本人告知を実施し、尾道市、呉市、竹原市も、今後、不正取得が発覚した場合には実施することを決定しております。この後、大崎上島町は、昨年四月から、さらに一歩進めた登録型本人通知制度を実施しております。これは、事前に届け出をしておけば、すべての第三者請求について本人に通知するという制度であり、不正取得の防止に大きな効果があるものと期待されております。そのため、埼玉県では、知事の呼びかけで戸籍事務協議会において検討が進められ、昨年六月一日から、すべての市町村で実施されております。また、大阪府でも、知事の呼びかけで同様の取り組みが進められ、その中でも、高槻市及び箕面市では、昨年二月から、八業士や法人、国または地方公共団体による請求については、請求者の名前や住所、資格などすべての事項を開示する先進的な制度を開始しております。  このような動きの中で、本県は、二〇〇八年九月十九日、各市町に対して、住民票の写し等の交付に当たっては、本人確認等を確実に実施すること、及び人権啓発事業の中で身元調査防止に関する内容を盛り込むこと、この二点を要請しましたが、この程度の取り組みで不正行為を防止することができないことは明らかであります。  そこで、戸籍や住民基本台帳については原則非公開とするよう、さらなる法改正を国に強く求めるとともに、県内のすべての市町が、登録型本人通知制度など、不正取得の防止対策を講じるように積極的に働きかけをされるべきであると考えますが、御所見をお伺いいたします。  最後に、地元の鞆港の埋立・架橋建設の問題についてお伺いいたします。  今月十二日に広島高等裁判所で行われた、埋立免許差しとめ訴訟請求控訴事件の進行協議の場で、県は、鞆地区地域振興住民協議会の行方を見守る方針を示し、被控訴人側もこれに応じたので、裁判長が改めて進行協議の期日を決定したことが報道されました。
     知事は、できるだけ早期に解決できるよう努めたいとコメントされたようですが、二〇〇九年十月十五日の控訴提起から何らの進展がないまま二年が経過しようとしている今日、できるだけ早期にというあいまいな姿勢では許されなくなっていると思うのであります。  知事も御承知のように、鞆の町は狭隘な道路の両側に家屋が密集しているため、住民はもとより、鞆を訪れる観光客も常に危険にさらされており、緊急車両の通行にも支障を来しております。また、沼隈町能登原地区から鞆町を経由して福山方面に至る幹線道路は、埋め立て予定水面の北側を通る一本だけであり、これを通行どめにすれば、住民生活に及ぼす影響が大き過ぎるため、下水道の整備など、必要な公共事業を実施することが困難である現状になっております。そのため、多くの若者が町を離れ、人口の減少と高齢化が著しく進んで、町の存続さえ危ぶまれる状況になっているのであります。  住民協議会は、伝統的建造物の保存や観光客誘致の取り組みなどについて意見交換する場としては一定の意義があるかもしれませんが、埋立・架橋建設の問題で双方が歩み寄り、第三の道が開ける可能性は、ほとんどないものと思われます。十三日に行われた知事の記者会見を受けて、バイパスが必要だということでは双方の意見が一致してきたとの報道がなされました。しかし、反対派の住民も、バイパスの必要性は当初から認めていたのであり、今日まで問題解決が長引いているのは、埋立免許差しとめの訴訟に持ち込んだことが原因となっているのであります。  私は、三メートル近くも雪が積もる福井県の山村で育ちました。当時は、冬の三カ月間は陸の孤島となり、郵便物も人間が背中に担いで歩いて運んでおりました。急病人が出たり食料がなくなったときには、自衛隊のヘリコプターが出動してくれたのを覚えております。ですから、一本の道路や一本のトンネルが地域の暮らしを守る命の綱となることを、身にしみて感じてまいりました。鞆町で暮らしている圧倒的多数の人々も同じような思いで、一日も早い事業着手を切望しているのであります。  一九八三年十二月の福山港地方港湾審議会における基本方針の決定から既に二十七年、本議会において、早期実現に関する請願を採択してからも十二年以上が経過しております。これ以上は一日も待てない状況になっているのであります。また、県は、国及び福山市との協議の中で、二〇〇七年の公有水面埋立免許出願により、町中を通る県道の代替道路が計画されたという理由で、都市計画道路を廃止し、同時に、福山市は伝統的建造物群保存地区として都市計画決定を行ったという一連の事実からしても、もはや退路は断たれております。そして、このことは、県と福山市の共通認識であったはずであります。  知事におかれては、このような経緯と現状を踏まえて、事業実施に向けた作業を直ちに進めるべきであると考えますが、御所見をお伺いいたします。  質問は以上であります。御清聴、まことにありがとうございました。(拍手) 15: ◯副議長(芝 清君) 当局の答弁を求めます。知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 16: ◯知事湯崎英彦君) まず、東日本大震災の被災地のカキ養殖に対する支援についてお答え申し上げます。  今般の気仙沼市におけるカキ養殖の支援は、現地のニーズに基づき、カキいかだのフロートなどの養殖資材の提供と、カキいかだの組み立て技術を持つ技術者を派遣することにより、東北地方のカキ養殖業の復興を支援しようとするものでございます。  具体的には、八月下旬に、県の呼びかけに応じられた県内のカキ養殖業者十三名の方が現地に赴き、気仙沼市の養殖業者と一緒に、三日間、カキいかだの組み立て作業を行ったところでございます。  私も現地に出向き、皆様を激励してまいりましたけれども、その際、現地の漁業者の方から、今回の応援がなかったら廃業を考えていた人が多くいる、広島の応援でもう一度頑張ろうと思ったと声をかけていただき、今回の応援の意義を強く感じたところでございます。  しかし、被災地の状況は依然として厳しく、本格的なカキ養殖業の再開までには、漁港施設や陸上の加工施設の復旧など課題も多く、引き続き、現地の状況に応じた効果的な支援が求められております。  本県の今後の復興支援につきましては、国や地方自治体によるさまざまな対策が実施される中、被災地で必要とされる支援を的確に把握し、今回の支援活動で得られた被災地との人的な交流をもとに、広島県として行うべき効果的な支援のあり方を検討してまいりたいと考えております。  次に、発達障害児と保護者に対する支援の充実についての御質問でございます。  発達障害につきましては、県内では、現在、六十九医療機関・九十二名の医師が診療を行っているところでございます。近年、相談や診療のニーズが増大して、県東部地域においても、県立福山若草園等における初診や再診の待機期間は長期化しております。  このため、県としては、県立福山若草園の移転整備に際し、発達障害に係る医療スタッフを確保して、診療体制を拡充することとしております。  また、保護者からの療育に関する相談体制については、福山市が設置する学齢期前の子供の発達障害の相談や診療を行うこども発達支援センターとの相互連携のもと整備することとしております。  なお、当面の対応といたしましては、発達障害に係る専門医の要請を目的に、県内の小児科医等に対して、東広島市の県立わかば療育園等で研修を実施し、身近な地域レベルの医療機関においても受診できる体制を整備するとともに、県立福山若草園においても、移転前の段階で相談専門職員を配置していくこととしております。  県としては、こうした取り組みを通じて、発達障害児と保護者が安心して生活できるよう、県立福山若草園を中心に、引き続き市町と連携して支援策を講じてまいります。  鞆港埋立・架橋問題の早期解決に向けた取り組みについての御質問がございました。  鞆地区における埋立・架橋計画につきましては、この計画の是非のみが論じられて、住民の意見の相違や対立が大きく取り上げられてまいりました。  しかしながら、住民の方々は、計画に賛成、反対の立場を問わず、鞆の歴史や伝統に誇りを持ち、町の景観を愛しておられ、また、鞆の町をよくしたいというお気持ちは共通のものであると認識しております。  こうしたことから、この問題が地域の将来に禍根を残すことがないよう、鞆の将来像について住民同士の話し合いを積み重ねていくことが大切であると考え、これまで住民協議会を開催し、地域のさまざまな課題について認識の共有に努めてまいりました。  現在、住民協議会では、出席者の方々から出された課題を踏まえて、バイパスに求められる機能や景観に与える影響などについて、住民としての視点からの具体的な話し合いが行われているところでございます。  引き続き、こうした本質的な話し合いをさらに深めていただく中で、できるだけ早期に解決の方向性を見出し、県として必要な対策に取り組んでまいりたいと考えております。  その他の御質問につきましては、担当説明員より答弁させていただきます。 17: ◯副議長(芝 清君) 健康福祉局長佐々木昌弘君。         【健康福祉局長佐々木昌弘君登壇】 18: ◯健康福祉局長佐々木昌弘君) こども家庭センターへの保育士と教員の配置についてお答えいたします。  こども家庭センターの一時保護所に入所する児童は保護を要する期間や保護に至った背景などさまざまであることから、保護した児童に対しては、精神状態を十分に把握し、心身を安定させた上で、児童一人一人の状況や特性、学力に配慮した指導を行うことが必要であると考えております。  このため、県といたしましては、教員や保育士の資格を持つ職員や一時保護指導員を西部及び東部こども家庭センターに計九名配置し、児童が楽しく落ち着いて生活できる環境の確保に向けて、規則正しい食事、睡眠等の生活習慣の習得を図っております。  また、学習環境につきましては、個々の児童ごとに、平日の午前中には二時間程度の学習指導、午後には音楽活動や運動といったグループワークの実施などにより、整備に努めているところでございます。  このように、一時保護所は、家庭的環境の中で児童の心身の安定を回復する役割を担い、一時保護が長期化しないことが何より重要と考えており、その上で、教育・学習指導につきましては、引き続き、在籍校と緊密に連携を図り、個別の状況に応じた対応を図ってまいりたいと考えております。 19: ◯副議長(芝 清君) 地域政策局長中山雅文君。         【地域政策局長中山雅文君登壇】 20: ◯地域政策局長中山雅文君) 悪質な身元調査を防止するための取り組みについて御答弁申し上げます。  戸籍や住民基本台帳に係る不正請求は、個人情報の保護に反するのみならず、身元調査などの人権侵害にもつながるおそれがあり、国においては、個人情報保護の観点から、平成十九年に請求者の制限や本人確認の厳格化などの法改正がなされました。  県といたしましては、これらの法改正の趣旨を踏まえ、個人情報の適切な管理がなされるよう、市町に対し通知するとともに、機会をとらえて必要な助言を行ってきたところでございます。  御指摘のありました登録型本人通知制度につきましては、不正防止対策として一定の効果が見込まれるものの、制度の導入に当たっては、実際に事務を行う市や町が、それぞれ定める個人情報保護制度との整合や、地域の実情、事務処理の状況などを総合的に勘案して判断されるべきものであると考えております。  なお、住民基本台帳を原則非公開とすることにつきましては、住民の居住関係を公に証明する制度という法の趣旨を踏まえますと、なお慎重な検討が必要と考えております。  県といたしましては、今後とも、法に基づく本人確認事務などが確実に実施されるよう、引き続き市町を指導するとともに、県内の市区町で構成される戸籍事務協議会において他県や県内における実例などを情報提供するなど、不正防止対策に努めてまいりたいと考えております。 21: ◯副議長(芝 清君) 教育長下崎邦明君。         【教育長下崎邦明君登壇】 22: ◯教育長下崎邦明君) 問題行動を起こした子供の指導のあり方についてお答え申し上げます。  生徒指導においては、指導基準を明確にし、教職員が毅然とした態度で繰り返し粘り強く指導することが重要であると考えております。  指導に当たっては、問題行動への対応だけでなく、児童生徒一人一人の心を育て、それぞれの人格のよりよき発達を目指すとともに、将来、社会において自己実現ができるよう、指導・援助することが必要であると認識しております。  このような認識のもと、教育委員会といたしましては、児童生徒に自己存在感を与えること、自己決定の場を与えること、共感的な人間関係を育成することといった生徒指導の三機能を全教育活動に生かすことで、豊かな心の育成に取り組んでいるところでございます。  また、今年度から、児童生徒の自己肯定感を高め、居場所づくりを進めるため、暴力行為等の課題のある十五地域を指定し、地域内のすべての小中学生が家庭、地域と一体となった体験活動を行う、心の元気を育てる地域支援事業を実施しているところでございます。  今後とも、教職員が児童生徒の理解を深め、児童生徒一人一人を大切にした適切な生徒指導が行われるよう、学校及び市町教育委員会を指導してまいりたいと考えております。  次に、教職員の超過勤務と遠距離通勤の解消についてお答えいたします。  教職員一人一人が、意欲を持って職務に邁進し、その能力を十分に発揮していくためには、すべての教職員が健康であることが基本であると認識しております。  このため、教職員の負担の軽減を図る観点から、教育委員会が発する調査・照会について精選・簡素化を徹底するなど、業務改善に取り組んできたところであり、加えて、本年、事務局内にプロジェクトチームを設置し、より学校現場の実態を踏まえた業務改善への取り組みを進めているところであります。  次に、遠距離通勤の解消についてでございますが、学校は、中山間地域及び島嶼部を含め、県内全域にわたり設置されているところであり、教育を受ける機会を確保し、一定水準の教育を保障するためには、県内全域を視野に入れた人事異動が必要であります。また、教職員の資質向上と学校組織の活性化を図るためにも、広域にわたる人事異動が必要であると考えております。  教職員の長距離通勤につきましては、教職員に負担を伴うものであることから、広域人事の推進に当たっては、特定の教職員に長期にわたって負担をかけることがないよう配慮しつつ、適切な人事異動を進めているところでございます。  今後とも、教職員が健康で意欲的に職務に邁進できる環境の整備に努めてまいりたいと考えております。  次に、こども家庭センターへの教員の配置における教育委員会の対応についてでございます。  こども家庭センターに一時保護されている児童生徒への学習指導につきましては、当該児童生徒の在籍している学校が学習教材を準備するなど、協力を行っているところでございます。  また、こども家庭センターへの教員の配置につきましては、知事部局からの要請があれば、適任者を選んで出向させることを検討したいと考えております。 23: ◯山下真澄君 議長……。 24: ◯副議長(芝 清君) 再質問を許します。山下真澄君。 25: ◯山下真澄君 教職員の超過勤務と遠距離通勤の問題について、再度教育長にお伺いいたします。  まず、超過勤務の実態につきましては、先ほど教育長にお答えいただきましたように、提出書類の精選などを進めておられること、それから入校・退校の時刻の記録管理システムを導入されたことなど、私もお聞きしております。しかし、先ほど私が少し数字を挙げて申し上げましたとおり、まだまだ大変な超過勤務が行われているのが実態であります。  そこで、この超過勤務を少しでも減らすことの手だてを、さらに強化していただきたいことが一つと、それから、学校の中で倒れた先生、あるいは自宅で過重労働が原因だと考えられるような状況で倒れて亡くなった先生がたくさんおられます。先ほども少し申し上げましたが、お忙しい中でありますけれども、法令に基づいた労働環境をきちんとつくり、その中で校長がリーダーシップを発揮して、労働安全衛生法に基づいてきちんと健康管理することを、さらに徹底していただきますようにお願いしたい、このことをお伺いしたいと思います。  それから、もう一つは、遠距離通勤にかかわる問題であります。  これにつきましては、私より事務局の皆さんがよく御存じのとおりですが、年次別の教職員の数と通勤手当の総額を調べてみました。そうしましたら、一九九八年度には、教職員の数が二万一千百四十四人でありました。それに対して、通勤手当の総額は二十億九千六百万円余でありました。しかし、昨年度は、教職員数一万七千六百人に対して、通勤手当の総額は二十二億七千五百万円余となっております。  つまり、九八年度と昨年の二〇一〇年度を比べれば、教職員数は三千五百四十四人減少しているにもかかわらず、通勤手当は、逆に、一億七千九百万円増加しているわけであります。  仮に、一人当たりの支給額が一九九八年の水準であるとして計算してみますと、昨年度の通勤手当の必要額は、十八億九千六百万円余であります。つまり、教育委員会が教職員人事のあり方を改めさえすれば、年間三億七千九百万円もの無駄遣いをなくすことができるのであります。  私は、教職員の負担を軽減するだけではなく、おくれている学校の耐震化工事や子供たちの指導に効果的な施策を実施するために、少しでも多くの予算を充てる、そのためにも、遠距離通勤につながる広域人事については、いま一度再考し、改めるべきではないかと思います。  以上、二点をお伺いいたします。 26: ◯副議長(芝 清君) 当局の答弁を求めます。教育長下崎邦明君。         【教育長下崎邦明君登壇】 27: ◯教育長下崎邦明君) 教職員の超過勤務と遠距離通勤の解消について、再度お尋ねがございました。  まず、県教育委員会から発出する調査照会文書については、これまでも精選や余裕を持った回答期限の設定などの見直しを進めてきたところであり、平成二十二年度においては、前年度の約一割を削減したところでございます。引き続き、調査照会の精選や実施方法の改善に努めてまいります。  次に、県立学校における衛生委員会については、会議の開催を定例化するとともに、教職員の健康の保持増進のための具体的な対策について調査・審議するなど、その機能化を図るよう指導してきたところでございます。  こうした取り組みの結果、衛生委員会の開催回数は、平成十二年度の年間平均二・六回から平成二十二年度には五・六回と約二倍に増加するとともに、協議に当たっては、入校・退校時刻の記録を活用するなど、内容が充実してきているところでございます。  今後とも、県立学校における教職員の健康管理に一層努めるとともに、市町教育委員会に対しても、ヒアリング等を通じて、県教育委員会の取り組みについて情報提供を行ってまいります。  また、広域にわたる人事異動に伴う通勤手当につきましては、適材適所の配置に伴って生じる必要な経費と考えておりますが、先ほども申し上げましたとおり、特定の教職員に長期間にわたって負担をかけることのないよう配慮してまいりたいと考えております。 28: ◯山下真澄君 議長、再々質問。 29: ◯副議長(芝 清君) 再々質問を許します。山下真澄君。 30: ◯山下真澄君 今、教育長にお答えいただいた超過勤務の状況の把握などについては、私も現場の方々からお聞きして、システムなどは理解しております。それから、少しでも減らすことで努力をなさっているということもお聞きしております。しかし、これも再度申し上げますけれども、なかなか減っていないのが実情であります。  それから、入校・退校記録の管理システムには、いわゆる休日の出勤については記録されないことも聞いております。したがって、正確な状況を把握する意味では、まだまだ不十分なところがあると思います。  県立学校や各市町の教育委員会に、その都度、指示される、あるいは要請の文書を出されることもよく承知しておりますが、通知を出して事足りることにするのではなく、ぜひ現場に直接、足を運んでいただきたい。校長先生はもちろんですけれども、教職員から具体的な状況をつぶさに聞いていただいて、そして健康を守る、健康を守るのは、先生方の健康を守るということにとどまらず、ひいてはそれが子供のためになるわけですから、そういう取り組みをしていただきますことをお願い申し上げまして、終わります。ありがとうございました。         【副議長退席、議長着席】 31: ◯議長(林 正夫君) 引き続いて質問を行います。松浦幸男君。         【松浦幸男君登壇】 32: ◯松浦幸男君 自由民主党広島県議会議員会の松浦幸男でございます。  さて、六月の退陣表明から三カ月も居座り続けた菅首相もようやく観念して、今月初め、新しい内閣がスタートしましたが、早速、失言で閣僚が辞任するなど、新内閣は出だしからつまずいております。  我が国は、今、震災復興、原発事故対応、円高対策といった喫緊の課題に加え、社会保障と税の一体化、経済成長と財政健全化の両立など、長年先送りされてきた課題に直面しております。  野田首相には、これらの課題を先送りせず、しっかりと将来を見据えて方針を定め、前へ進める政治が、今求められていると思っております。  翻って、こうしたことは本県にも当てはまることであります。本県においても、長らく先送りされてきた課題や取り組みの成果が出ていないものがあります。本日は、そういった課題を中心に質問したいと思いますので、県民の方が課題解決に期待が持てるような答弁をお願いしたいと思います。  それでは、質問に入らせていただきます。  質問の第一は、広島西飛行場の跡地利用についてであります。  六月定例会で、広島西飛行場をヘリポート化する条例が成立し、今次定例会には、そのための予算が提出されております。西飛行場は、広島空港の開港後に廃止することが既に決められておりましたが、ヘリポート化が決定したことで、一部機能は残るものの、開港から十八年でようやくこの問題に決着がつくことになりました。  今後、ヘリポート化に向けた整備が進むにつれて跡地利用の検討が加速するものと考えておりますけれども、その検討は、広島市が進め、県が市に協力することになっております。  こうした、県市間の整理に基づいて、広島市では、庁内の検討会議を設置し、年度内に市の考え方をまとめ、来年度から県との協議に入り、来年度末には跡地利用ビジョンを策定するとのことであります。  西飛行場の跡地は約五十ヘクタールで、ヘリポート用地を除けば約四十五ヘクタールという大規模なものですが、その八割は県有地であります。広島市中心部に近接したこの貴重な土地は、本県の将来の発展にとって重要な場所であり、県全体を見据えた利活用が図られるべきであります。そのためにも、土地の所有者である県が、その利活用策を主体的に考えていくことが必要であり、それが県民の大切な財産を管理する者の責任であると思います。  そこで、西飛行場跡地という貴重な県有地の利活用に当たっては、広島市の検討と並行して、県としてもきちんと将来ビジョンを描いて、利活用に関する県の考え方を明確に示すべきだと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。  質問の第二は、広島空港とその周辺の活性化についてであります。
     まず一点目は、旅客数の増加対策についてお伺いいたします。  広島西飛行場のヘリポート化により空港機能が一元化されることで、広島空港は、名実ともに中四国地方の拠点空港としての位置づけが明確になったと考えております。  今後、拠点空港にふさわしい空港として、広島空港のさらなる機能強化が必要でありますが、一方で、西飛行場の存廃論議がなぜこれほど長い間繰り返されてきたのか、その原因を、いま一度、よく考えてみる必要があると思っております。  私は、その最大の原因は、広島都市圏からのアクセスの悪さであると思っております。  先月も、お盆の帰省ラッシュで山陽自動車道は大渋滞となり、またもやリムジンバスの運休が相次ぎました。これまでも、大型連休や盆、正月の渋滞、あるいは積雪や事故などで、たびたびリムジンバスは運休しており、最近では、海外便を利用する人は、リムジンバスの運休を恐れて、空港に隣接するホテルに出発の前日から泊まるのだと言います。もはや、空港アクセスの脆弱性は、空港利用者に定着してしまったかのような状況であります。  広島空港における軌道系アクセスの必要性は、空港開港当時から指摘されてきましたが、リニア鉄道もJRの延伸も、事業採算性の問題などで凍結され、実現しませんでした。  知事は、軌道系アクセスに関して、空港の利用促進によって旅客数をふやすことで、将来の軌道系アクセスの検討可能性も生まれてくると言われておりますけれども、採算性を確保するためには、旅客数を年間三百四十万人から三百五十万人にまでふやさなければならないとされています。しかし、平成二十二年度の広島空港の旅客数は二百七十一万人で、前年度に比べて十万人も減少しており、三百五十万人にはほど遠い状況にあります。また、来年度、岩国空港が開港すれば、旅客数はさらに減少することも予想されます。  このまま、広島空港は不便でリスクの高い空港というイメージが定着することになれば、旅客数の増加どころか、減少が加速するのではないかと危惧いたしております。そうなれば、知事が今、力を入れておられる「瀬戸内 海の道構想」にもマイナスとなるのではないでしょうか。  そこで、広島空港の旅客数の減少傾向に歯どめをかけ、三百五十万人にまでふやすために、どのような対策をお考えなのか、知事の御所見をお伺いいたします。  二点目は、県営駐車場の料金についてお伺いいたします。  広島空港には、国営、県営、民間を合わせて三千八百台の駐車場がありますが、いずれも有料で、県営駐車場は一日八百円の料金が設定されております。一方、岡山空港は、三千百台の駐車場のうち、一部が有料化されましたが、残りの二千八百台余りは無料であります。海外などへ長期旅行をする場合、有料駐車場は利用者に相当の負担となることから、県東部では、広島空港よりも駐車料金が無料の岡山空港のほうが使い勝手がよいと言う人が多いと言われております。  こうしたことから、広島空港の駐車料金の問題については、これまで何度も議会で取り上げられ、無料化あるいは料金を引き下げるべきとの指摘がなされておりますが、広島空港には、国や民間の駐車場があり、県が単独で大幅な料金改定を行うことは困難であるとされてきました。しかし、旅客数が減少する中でその改善を図るためには、空港の利便性の向上が不可欠であり、駐車料金の無料化は有効な対策の一つであると思います。  それは、単に利用者の負担軽減ということではなく、空港自体の評価にもつながるもので、料金収入以上の効果を発揮するのではないかと思います。  そこで、知事は、広島空港の利便性向上対策として、県営駐車場料金の無料化についてどのようにお考えか、御所見をお伺いしたいと思います。  三点目は、臨空オフィス地区の利活用についてお伺いいたします。  空港施設に隣接する臨空オフィス地区については、一部を県営駐車場などに活用したほかは、約四・六ヘクタールの造成済みの土地が長らく空き地のままとなっております。  この土地は、空港隣接地という立地条件の優位性を生かし、空港・物流関連企業のオフィスなどの需要が増加することを見込んで整備されたものでありますが、空港周辺地域の開発計画の中止などが影響して、企業などの誘致も進まず、他の目的に転用する計画もないまま現在に至っております。  本県の玄関口である空港ターミナルの目の前に広大な空き地が長期間放置されていることは、本県のイメージの低下にもつながりかねず、早急に対策が必要だと考えておりますが、知事は、本年度の当初予算で、臨空オフィス地区の利活用策を検討する予算を措置されました。また、この事業のねらいについては、広島空港が中四国地方の拠点空港としてさらなる発展を遂げるためには、空港周辺地域の活性化とにぎわいの創出が必要であり、そのために臨空オフィス地区の利活用を実現するのだと説明されました。私も同感であります。  そこで、現在、臨空オフィス地区の利活用策の検討はどこまで進んでいるのか、状況をお聞かせ願いたいと思います。  四点目は、大仙地区の利活用についてお伺いいたします。  大仙地区も、空港周辺地域における未利用地で、国の家畜改良センター跡地、入野財産区、民有地を合わせて二百三十ヘクタール余りを企業局が土地開発基金を活用して先行取得したものであります。  大仙地区開発基本構想、いわゆるクリーンヒル大仙計画に基づき、臨空都市圏の先導的な産業拠点として、工業、物流、研究開発、商業など、多様な機能を備えた複合的な産業団地の整備を目指しておりましたが、具体化せず、平成十六年に計画は中止されました。  もともと家畜改良センターは、国が地元から土地の寄附を受けて建設したという経緯があり、センターが廃止される際、地元から、その跡地利用が地域の活性化につながるように県に取得してほしいとの強い要望があり、県が取得したと聞いております。いつまでも未利用地のまま放置しておくわけにはいかないと思います。  現在、土地は、企業局から環境県民局に移管され、利活用については、庁内の関係局で構成される広島空港周辺地域発展方策検討会議において検討がなされておりますが、これまでどのような検討が行われ、今後どのような方針で利活用を図ろうとしているのか、お伺いいたします。  五点目は、広島空港の国際航空物流拠点機能の強化についてお伺いいたします。  FAZ事業は、国の臨時措置法に基づく輸入促進地域の指定を受け、広島県地域輸入促進計画を策定し、広島空港を国際航空貨物の拠点空港とするという目標を掲げて、鳴り物入りで始められた事業であります。  本県では、これまで、この計画に基づき、事業主体となる広島エアカーゴターミナル株式会社を設立し、滑走路の三千メートル化を行い、CAT─IIIbも導入し、国際航空物流拠点の整備に取り組んできました。  しかし、広島空港の国際線貨物量は、ここ十年間で三分の一にまで落ち込み、中四国地方で発生する国際線貨物の六割以上は関西空港に流れ、広島空港の利用率は一%にも満たない状況であります。  また、広島エアカーゴターミナルも、広島空港ビルディング株式会社の一部門となったほか、国際線貨物の誘致に不可欠な輸入ビジネスを支援する機能を担うはずだった国際ビジネスセンターについても、バブルの崩壊とともに計画が頓挫し、計画用地はいまだ塩漬けになっております。  広島空港を中四国地方の拠点空港とするためには、こうした国際物流機能の強化も必要だと思いますが、広島県地域輸入促進計画に掲げられた国際航空物流拠点の整備という目標の実現についてはどのように考えておられるのか、お伺いいたします。  臨空都市圏プランなど、空港周辺地域の開発計画は、学術研究機関や先端産業の集積を図るほか、自然を生かしたリゾート施設などを整備して、この地域を国内外から人、物、情報が集まる本県の戦略拠点にしようというものであります。  本県には、広島都市圏と備後都市圏という二つの大きな圏域があり、産業、教育、文化などさまざまな集積があります。この中間に位置する空港周辺地域が計画のように発展すれば、本県のエンジンが三つになるだけでなく、二つの圏域を結びつけ、県の東部から西部までが帯のようにつながることで力が一つになり、相乗効果により力強い発展が可能となります。  こうしたことから、空港周辺地域は、本県を牽引する重要な地域と位置づけられているのであります。  私は、本日、広島空港とその周辺地域の課題について五点ほどお伺いしましたが、これらの課題はいずれも長年指摘されたものであり、また、長年解決されないまま先送りされてきたものであります。  空港開港から十八年が経過しようとしており、そろそろ、これらの課題を解決しなければならないと思っております。  しかしながら、これらの課題は、どれか一つだけ解決しても大きな効果は生まれません。軌道系アクセスの事業採算性の確保には、空港の機能強化や利便性の向上などにより旅客数をふやすだけでなく、周辺地域の活性化を図り、旅客以外のアクセス利用者をふやす環境づくりも必要であります。総合的に対策を講じなければなりません。  こうしたことから、広島空港とその周辺地域の活性化の問題について施策を再構築するとともに、担当部局がばらばらに対応するのではなく、一元的な体制を整備して取り組みを強化すべきだと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。  質問の第三は、TPPへの対応についてであります。  TPPへの参加問題については、昨年十月、当時の菅首相が所信表明演説で、TPPへの参加を検討すると表明して以降、参加の可否をめぐる議論が沸騰しました。  TPPへの参加に賛成する側は、参加しなければアジア太平洋地域の重要なルールづくりに我が国が関与できなくなる、参加することで日米関係が強化され、それが対中国、対EU関係で我が国の立場の強化につながる、韓国におくれをとる我が国のEPA戦略で大きく挽回できる、これまで進まなかった農業分野など国内改革を進める契機となるといったメリットを主張しております。  一方、これに反対する側は、アメリカやオーストラリアなどの農産物輸出大国が参加するTPPに参加すれば、国内農業は壊滅的な打撃を受け、食料自給率は大きく低下し、安全・安心な食料の確保が困難になる、農林水産業が主要な産業である中山間地域の経済・社会を疲弊させる、国内の規制・制度の変革が求められ、国民生活に悪影響が及びかねないといった強い懸念が示されております。  特に大きな影響を受ける農業界では、JAが一千万人を超える反対署名を集めるなど、一貫して反対しております。  菅政権は、こうした議論の盛り上がりを見て、結論を出すことができず、参加の可否の判断は先送りされましたが、野田政権になってもいまだに明確な方針は示されておらず、早急に結論を出すべきだと批判されております。  我が国は、貿易国であり、技術立国でもあります。今後も、技術力を高め、付加価値の高い製品を輸出して、経済成長を続けていかなければなりません。貿易国にとって自由化は避けて通れない道であり、いずれ我が国は開国せざるを得ないときが来ると思っております。  一方で、国を開くためには、農業問題への対応は不可欠であり、食料の安全保障という観点からも、日本の農業が成り立つようにしなければなりません。お隣の韓国では九〇年代に輸入自由化を見据えて、国が巨費を投じて農業の競争力を高めるための対策を講じたと言います。  日本も、TPPへの参加に当たっては農業への手厚い政策が必要であります。一義的には、国が、国内農業の強化策をしっかりと実施し、大きな影響を受ける農業界の理解を得なければなりません。県としても、国に対して十分な対策を講じるよう求めていく必要があると思いますが、それに加えて、県でも、農家の不安を取り除くために必要な対策を実施すべきだと思います。  しかし、昨年度策定されたチャレンジプランでは、集落法人の経営力の強化や人材育成、販売力の強化などに取り組むとしておられますが、果たしてこれでTPPの影響に耐えられるのか、不安に思っております。  そこで、知事は、TPPを見据えて、本県農業が生き残っていくために、国に対してどのような対策を求めていくのか、また、県としてどのような対策を進めていくのか、御所見を承りたいと思います。  質問の第四は、観光振興についてであります。  まず一点目は、「瀬戸内 海の道構想」の今後の施策展開についてお伺いいたします。  知事が力を注がれている「瀬戸内 海の道構想」については、思い描くイメージがしまなみ海道とぴったり重なることから、地元尾道では、知事の就任以来、これに大きな期待を寄せております。尾道市では、「おのみち海の道構想」を策定し、県の構想と連携して、瀬戸内海の資源を活用したまちづくりを目指し、頑張っております。  これに対して、県のほうでも、中央桟橋の東に小型船舶用のビジターバースを整備していただいたほか、地元の長年の懸案でありました西御所県営二号上屋を、しまなみ海道のサイクリング基地などに改修していただくことになりました。また、しまなみ海道のサイクリングロードでは、車道の路側に推奨ルートを明示するブルーラインと、路面への距離標示の整備が広島県側で完了し、サイクリング利用者に好評のようであります。  県外からのリピーターも定着してきており、観光資源としてのしまなみ海道の価値は、徐々に高まってきているように思います。  こうしたことに加え、連続テレビ小説「てっぱん」のおかげで、尾道市の入り込み観光客は、昨年、久々に六百万人を超えるなど、尾道での「瀬戸内 海の道構想」は順調に進んでおり、知事には感謝しているところであります。しかし、その一方で、「瀬戸内 海の道構想」全体としては、その進捗に物足りなさを感じるという意見もあります。  当初、この構想は、一兆円構想という響きが多くの県民の心をとらえました。今、一兆円という言葉は、構想の名称からはなくなりましたが、今年三月に策定された構想では、平成三十二年までに観光関連消費額を倍増させ、波及効果を含めて一兆円を目指すという目標が盛り込まれており、県民は、この構想に経済成長や売り上げの増加を期待しております。  県では、昨年度、五千万円の予算が投じられ、構想を策定しましたほかに、十九の実証事業などが行われましたが、県民にその成果を尋ねてみますと、返ってくる答えは、かき小屋ぐらいだと言っております。物足りなさの原因ではないかと思っています。  あと二カ月で知事就任から二年を迎え、いよいよ任期の折り返し地点に差しかかっております。そろそろ知事の目玉事業である海の道構想も、県民の期待する経済成長が実感できる事業を、姿が見える形でどんどん打ち出していくべきではないでしょうか。  そこで、知事は、「瀬戸内 海の道構想」の今後の施策展開について、県民が経済成長を実感できる具体的な事業としてどのようなものを考えておられるのか、御所見をお伺いしたいと思います。  二点目は、観光人材の育成についてお伺いいたします。  近年、観光客のニーズは、見る観光から体験する観光へ、団体旅行から小グループ、個人旅行へと変化しており、目的地の情報収集やホテルの予約などもインターネットを使って自分で行う人がふえています。また、成長著しいアジアからの観光客が急増するなど、観光を取り巻く状況は大きく変化しております。  観光振興にとって、リピーターを獲得し、交流人口を増加させることが重要です。その推進力となるのがホスピタリティーであります。その向上を図るために、変化する観光客や時代のニーズに合わせたきめ細かなサービスの提供が重要でありますが、それには、外国語はもちろん、国の習慣の違いへの対応、インターネットや携帯電話による情報発信や予約システムの導入など、ITの知識、その他さまざまな企画力・営業力も必要となります。  しかし、地方の観光地のホテルや旅館、商店街、運輸関係の会社などは、中小零細企業が多く、自前で人材を育てることが難しいことから、昨今の変化に対応できないのではないかと不安を抱いております。  これに対して、県では、観光におけるマネジメントを行う人材を育成するためのセミナーを開催されておりますが、高校で観光教育を実施し、必要な知識や能力を身につけた人材を供給しようとする動きは見られません。  本県は、かつて、西城紫水高校の前身の西城商業高校にサービス観光学科が設置されておりましたが、平成十年に募集停止となっており、現在、県立高校には観光関係の学科はありません。今後、観光産業が成長していけば、そこには雇用が生まれてくるはずであります。  先ほど申し上げた旅館や商店街などは、観光現場の最前線で働く人材を集めており、雇った後で教育するのではなく、既に観光について必要な知識を身につけた人材を雇いたいという声が強くあります。  また、企業、行政、地域住民の一人一人が、個性あふれるアイデア、新しい発想を出してこそ、本県の観光力を高めていくことができるのであり、次世代の観光の担い手を育成することは重要であると思います。  そこで、本県の観光振興を図る上で、高度な観光人材の育成とは別に、観光地の企業のニーズにこたえた、おもてなしのできる観光人材の育成・供給の必要性について、県立高校に観光学科を設置することを含め、どのようにお考えか、知事の御所見をお伺いいたします。  質問の第五は、学校現場の問題解決についてであります。  本県では、平成十年の文部省の是正指導を契機として、教育関係者を初め、議会、執行部が一丸となって教育再生に取り組んだ結果、全体として公教育の基盤が整い、学力も向上しました。  昨年度の全国学力テストでは、本県の小学校が全国第五位となったほか、本年度の基礎・基本定着状況調査でも、実施したすべての教科で平均通過率が六〇%を超え、特に中学校は昨年度に比べて大きく上昇しております。  また、最近の大学進学実績を見ても、国公立大学の現役合格者が以前に比べ大きく増加しております。これも、是正指導以降、基礎・基本定着状況調査などを続けたことや、進学指導拠点校などを指定し、学力強化を図ってきた成果が出たものと思っております。  今後も、こうした取り組みを積み重ね、教育県広島の復活を揺るぎないものにしていく必要があります。  それには、最近気がかりなことがあります。その一つが、児童生徒の暴力行為の増加問題であります。昨年度、公立学校の児童生徒が起こした暴力行為は千五百四十三件で、四年連続の増加となっております。特に際立っているのが教師に対する暴力で、昨年度に比べ七五%も増加しております。また、小学生の暴力行為がこれまでで最多となり、低年齢化が進んでいることも明らかになるなど、事態は極めて深刻であります。  問題行動を起こす児童生徒がふえた原因として、いつも、感情をコントロールできない子供の増加とか、規範意識の低下とか、さらには家庭での教育力の低下や、教師の指導力不足といったことが挙げられますけれども、どれも一見、もっとものようでありますが、抽象的過ぎて効果的な解決策は見えてきません。  もう一つの気がかりな問題は、教職員の病気休職の増加であります。平成二十一年度の本県教職員の病気休職者数は二百三十二名で在職者数に対する割合は一・六五%と、全国平均の〇・九四%を大幅に上回り、休職者のうち五五%は精神疾患という状況にあります。こちらも、原因は、教職員の長時間勤務、生徒指導の複雑化、保護者の要望の多様化といったことが言われておりますが、一向に休職者が減る様子はありません。  いずれも、もう少し踏み込んだ分析と解決策の検討が必要ではないかと思っております。これらの問題は、いずれも児童生徒や教職員に大きな影響を与えるもので、学校運営に支障を来すものであります。教育再生の取り組みがようやく実を結び、子供たちの学力も向上し、本県教育が県民の信頼を取り戻しつつある中で、こうした問題を早く解決しなければ、また以前の状態に逆戻りするのではないかと心配しております。  そこで、児童生徒の暴力行為、教職員の病気休職が、子供たちの学力の低下に与える影響をどう認識し、今後どのように対応しようとしているのか、教育長の御所見をお伺いいたします。  以上で、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 33: ◯議長(林 正夫君) 当局の答弁を求めます。知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 34: ◯知事湯崎英彦君) 広島西飛行場の跡地利用について御質問がございました。  広島西飛行場の敷地は、市中心部に近接した広大かつ平たんな土地であり、今後、広島南道路の整備により交通利便性が向上するなど、さまざまな利活用が期待できるポテンシャルを有しております。  こうしたことから、跡地の利活用は、広島市域の活性化や拠点都市としての発展に寄与する視点からの検討が必要であり、まちづくりの主体である広島市の意向を尊重する必要がございます。  あわせて、跡地の大部分を所有する県といたしましても、その利活用が県全体の発展につながるよう、広域的な立場から検討していく必要があると考えております。  今後、跡地の利活用が県と広島市双方の活性化や発展につながるよう、情報共有や意見交換を十分に行い、実効性のあるビジョンが策定されるよう、連携して取り組んでまいります。  次に、広島空港の旅客数の増加対策についての御質問でございます。  今後、さらなる人口減少社会を迎える中で、広島空港の旅客数を増加させるためには、旅行需要の拡大を図るとともに、その中で航空旅客のシェアを高めることが不可欠であると認識しております。  旅行需要の拡大については、経済の活性化と観光振興による新たな需要の掘り起こしが重要であると考えております。  このため、県経済の活性化に向け、ひろしま産業新成長ビジョンに示した、新たな産業の育成やアジアを中心とする成長市場を取り込んだ事業展開などを進めるとともに、「瀬戸内 海の道構想」の実現に向けた取り組みを初め、アジア地域をターゲットとしたトップセールスによるインバウンド振興や新たな国際線の誘致等に努めているところでございます。  また、航空旅客のシェア拡大につきましては、他の輸送モードや他空港に対する優位性を高めるため、空港アクセスの改善に努めるとともに、ソフト・ハードにわたる空港機能の強化が必要であると考えております。  このため、本年三月に広島空港振興協議会において取りまとめられたアクセス対策アクションプログラムの着実な実施に努めるとともに、国内線・国際線を通じた航空ネットワークの拡充、さらには、ターミナルビルなど空港施設の利便性、快適性の向上に努めているところでございます。  今後、広島空港を取り巻く環境は、ますます厳しさを増してくるものと考えておりますが、こうした取り組みを通じ、広島空港における旅客数の増加を図ることにより、中四国の拠点空港にふさわしい発展を目指してまいります。  次に、広島空港周辺地域の活性化に向けた取り組みの強化についての御質問でございます。  広島空港を核とする臨空都市圏については、本県発展のための戦略的拠点として位置づけ、これまで交流、産業、研究拠点などの集積促進に向けて、各種基盤の開発・整備に重点的に取り組んでまいりました。  しかしながら、長期にわたる景気低迷など、空港開港後の社会経済情勢の変化によって、当初の計画どおりに企業立地が進まず、大規模な未利用地もあることから、これらの活用が課題となっているところでございます。  また、空港周辺地域の活性化には、広島空港のさらなる拠点性の強化が重要であり、航空ネットワークの拡充など空港機能の強化、空港アクセスの改善、空港周辺施設の利用促進によるにぎわいの創出などの課題解決に向け、部局横断の取り組みの強化や、広島空港周辺事業推進協議会など県、地元自治体、周辺事業者で構成する協議会との緊密な連携を図りながら、引き続き、広島空港とその周辺地域の活性化に総合的かつ一体的に取り組んでまいります。  次に、「瀬戸内 海の道構想」の今後の施策展開についての御質問でございます。  「瀬戸内 海の道構想」につきましては、観光関連消費額と経済波及効果を含めて一兆円を目標としているものであり、十年後を目指し、中長期的に取り組んでまいりたいと考えております。  このため、市町や民間企業、NPO法人等のさまざまな主体と連携しつつ、地域資源の掘り起こし、プロジェクトの計画策定、それを担う人材の確保や育成、さらに、資金を調達する仕組みづくりなど、着実で息の長い取り組みにより一歩一歩達成していくものであると考えております。  また、しまなみアイランドライドや大河ドラマ「平清盛」放映に合わせた各種イベントの実施、昨年度の実証事業の成果や課題を踏まえたオイスターロードの拡大やサイクリングルートの整備、新たなクルーズの商品化に向けた取り組みなど、集客力が見込まれ、短期的に効果が期待できる事業についても積極的に取り組んでまいります。
     その他の御質問につきましては、担当説明員より答弁させていただきます。 35: ◯議長(林 正夫君) 土木局長高垣広徳君。         【土木局長高垣広徳君登壇】 36: ◯土木局長(高垣広徳君) 広島空港とその周辺地域の活性化について、二点お答えいたします。  まず、県営駐車場の料金についてであります。  広島空港の県営駐車場につきましては、財団法人空港環境整備協会が管理する国営の駐車場を補完するものであることや、民間駐車場の経営に対する配慮等から、国営駐車場に準じた料金設定を行っているところでございます。  御指摘のとおり、駐車場の無料化は、道路系アクセスに依存する広島空港にとって、その利便性向上に資するものと認識してございます。  一方で、国においては、空港経営の抜本的効率化のため、滑走路など空港基本施設に加え、駐車場やターミナルビルの運営まで幅広く経営の一体化を進める議論が行われております。  具体的には、本年七月に、国土交通省の空港運営のあり方検討会の報告書において、今後おおむね十年以内に、広島空港を含む国管理二十七空港については、経営の一体化を初めとする経営改革を目指すこととされております。  駐車場の料金のあり方についても、こうした国の動向も視野に入れながら、引き続き検討する必要があるものと考えてございます。  次に、広島空港の国際航空物流拠点機能の強化についてお答えいたします。  現在、広島空港発着の国際航空路線には、コンテナ搭載が可能な大型機が投入されていないことから、本県の国際航空貨物のほとんどが関西空港等の他の空港を利用している状況にございます。  グローバル化が進展する中で、本県が今後も中四国地方発展の先導役として中枢拠点性を高めていくためには、経済成長著しいアジアを中心とした海外成長市場とのつながりを強め、本県経済の活性化に取り組む必要があります。  こうした中、広島空港が中四国地方の拠点空港として今後とも発展していくためには、特に、アジアで生産・消費される国際航空貨物を中心に、サービスの向上やコストの低減を図ることが重要であると認識しております。  このため、アジアの主要都市や近隣の国際ハブ空港とのアクセスを強化してネットワークを形成することを基本に、新規路線の開設や既設路線の拡充に努めているところでございます。  広島県地域輸入促進計画が策定されました平成十三年当時と比べても、現在の社会経済情勢は大変厳しいものがありますが、こうした取り組みを着実に進めることにより、新たな貨物需要を生み出し、さらには他空港を利用する貨物の転換を促すことができ、また、機材の大型化を図ることにより、取扱量の増大につなげていくことができるものと考えております。  今後とも、国、関係市町や企業との連携を進めることにより、広島県で生産・消費される国際貨物が、より早く、より安く利用できる国際航空物流拠点の実現を目指してまいります。 37: ◯議長(林 正夫君) 地域政策局長中山雅文君。         【地域政策局長中山雅文君登壇】 38: ◯地域政策局長中山雅文君) 二点について御答弁申し上げます。  まず第一点目は、臨空オフィス地区の利活用についてでございます。  空港周辺地域は、多くの未利用地を抱えており、その利活用が課題であることから、造成済みで多額の追加投資を要しない臨空オフィス地区につきまして、今年度から、利活用に向けた取り組みに着手したところでございます。  具体的には、これまでのオフィス用途を見直し、用途を限定せず、ニーズに応じた利活用策を検討することとし、空港施設関連、流通、小売、製造など、幅広い分野の五千三百社に対して調査を行っているところでございます。  現在、回答内容の分析を行っておりますが、急激な円高の進行など厳しい経済情勢から企業の設備投資意欲は低迷していることや、広島市など市街地から遠く商圏や雇用に不安があることなど、誘致環境は極めて厳しい状況にございます。  今後は、こうした分析結果や開発業者等からの情報収集を通じて、臨空オフィス地区の実態に応じた分譲条件の整備と誘致業種の重点化を行った上で、集中的な誘致活動を行うなど、利活用の実現に向けて粘り強く取り組んでまいります。  次に、大仙地区の利活用についてでございます。  大仙地区は、空と陸の交通結節点を活用した高次複合産業交流拠点の整備を目指した、クリーンヒル大仙計画に基づき取得いたしましたが、社会経済情勢の変化等により計画の実現が困難となったものでございます。  この土地は、上下水道や道路基盤などのインフラが未整備の状況であり、県有地の有効活用の観点から、現在まで暫定的に簡易な自然公園的活用を行ってまいりました。  一方、広島空港周辺地域発展方策検討会議や県有地等分譲推進会議において、地元自治体の意向調査や活用ニーズの情報収集に取り組み、企業誘致などに向けた長期的な利活用の検討を行っているところでございます。  今度とも、交通・物流基盤の整備など、空港周辺環境や景気動向など社会経済情勢を見定めながら、長期的な視点から利活用策の検討を進めてまいりたいと考えております。 39: ◯議長(林 正夫君) 農林水産局長冨永嘉文君。         【農林水産局長冨永嘉文君登壇】 40: ◯農林水産局長冨永嘉文君) TPPへの対応についてお答え申し上げます。  TPPへの参加問題については、いまだ不透明な状況にございますが、参加に当たっては、農業関係者の方々に不安が生じることのないよう、農業の経営力強化に早急に取り組む必要があると考えております。  このため、国に対しまして、TPPへの交渉参加の可否については、総合的な検討を行うとともに、国民合意を得た上で判断すること、また、我が国の食料安全保障や農林水産業に悪影響を及ぼさないような十分な配慮として、地域の特性を踏まえた農業構造改革に資する施策の構築を進めることなどについて、全国知事会などを通じるとともに、本県としてもさまざまな機会をとらえて強く提案しているところでございます。  こうした中、本県におきましても、農林水産業チャレンジプランに基づき、販売額八千万円以上を目指す経営発展型モデル法人など、地域の核となる経営力の高い担い手の育成、市場ニーズに対応した加工業務用の新たな産地育成などによる売れるものをつくる生産体制の構築、戦略的な販売・流通等の仕組みの構築などを推進し、農業の経営体質の強化と農産物のブランド化に取り組んでいるところでございます。  引き続き、日本農業の持続的発展が将来にわたり可能となるよう国に提案していくとともに、チャレンジプランに掲げる各種施策を着実に実行することによりまして、本県農業の競争力強化に全力で取り組んでまいります。 41: ◯議長(林 正夫君) 商工労働局長津山直登君。         【商工労働局長津山直登君登壇】 42: ◯商工労働局長(津山直登君) 観光人材の育成につきまして、教育委員会関係も含めまして、私から御答弁を申し上げます。  観光産業が、本県産業の新たな柱の一つとして成長するためには、それを担うさまざまな人材の育成が極めて重要な課題であると認識いたしております。  このため、昨年度から、県立広島大学と連携いたしまして、観光関連企業、団体等の中核的な人材を育成するため、マーケティング、ブランド開発等の理論はもとより、人気テーマパークにおける従業員教育を参考にいたしまして、より実践的なセミナーを開催いたしております。  このセミナーにつきましては、事業者などからのニーズも高く、今年度も定員を大幅に上回る応募があったところでございます。  また、地域におけるホスピタリティーを高めるためには、まずは地域の方々が、地域の誇る魅力を十分に理解した上で観光客にも伝えていくことが重要であることから、宮島においては歴史・文化、竹原はタケノコ、庄原は里山など、各地域の特性を生かしたテーマによる出前講座を開催することといたしております。  さらに、市町や観光関係団体が実施する観光ガイドの育成などの取り組みについても、積極的に支援しているところでございます。  今後とも、こうした取り組みの成果や課題も踏まえまして、さらなる効果的な観光人材の育成について取り組んでまいります。  なお、御指摘のサービス観光科につきましては、平成三年度に、当時の西城商業高校に設置したものでございますが、定員割れが続くとともに、地元中学校からの進学率が低い状況だったことから、平成十年度に、地元及び中学校の要望を踏まえ、普通科に改編したものでございます。  今後の、観光科などの新たな学科の設置につきましては、地域のニーズや生徒の進路の見通しを踏まえ、慎重に検討する必要があるものと考えております。 43: ◯議長(林 正夫君) 教育長下崎邦明君。         【教育長下崎邦明君登壇】 44: ◯教育長下崎邦明君) 学校現場の課題解決についてお答え申し上げます。  昨年度の暴力行為の状況は、小学校では約一割の学校で、また中学校では約三割の学校で、それぞれ県全体の件数の九割近くが発生しており、特定の学校において特定の児童生徒が暴力行為を繰り返す傾向がうかがえます。こうした学校の多くは、基礎・基本定着状況調査において県平均を下回っている状況にあり、教師と児童生徒が落ちついて授業に集中できる環境を整えることが大切であると考えております。  教育委員会といたしましては、本年度より、暴力行為等の課題のある十五地域を指定し、地域内のすべての小中学生が、家庭、地域と一体となった体験活動を行う、心の元気を育てる地域支援事業を実施しております。この事業を通して、児童生徒の自己肯定感の育成や居場所づくりを進め、生徒指導上の諸問題の未然防止を図るとともに、学力向上へ向けた望ましい学習環境づくりに努めてまいりたいと考えております。  また、子供たちにとって望ましい学習環境を整えるためには、教職員一人一人が、健康で意欲を持って職務に邁進することが大切であると考えております。  このため、引き続き、教職員のメンタルヘルス対策の充実を図るとともに、教職員の負担軽減を図る観点から、本年、事務局内にプロジェクトチームを設置し、学校の業務改善に向けた取り組みを進めているところでございます。  今後とも、こうした取り組みを進めることにより、本県児童生徒の学力向上に努めてまいりたいと考えております。 45: ◯議長(林 正夫君) 明日も引き続いて質問を行います。明日は午前十時三十分から会議を開きます。  本日はこれをもって散会いたします。         午後二時四十六分散会 発言が指定されていません。 広島県議会 ↑ 本文の先頭へ...